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海人side
「え?」
「廉にとって、きっと邪魔になると思うんです」
「そんなの分からないでしょ…」
「分かりますよ、俺には。廉は器用じゃないから。特にこういう問題に関しては。廉があなたにも好かれてるって知ったら、きっと申し訳なく思うでしょうね。そして苦しんでしまう。だったら、俺1人の愛で十分じゃない?」
廉に害を与える全てのものは、必要なくてむしろ邪魔だ。
「廉も俺のことだけが好きだから。そういうわけで、廉から手を引いてください。今すぐに」
「言われなくてもそうするわよ」
「良かった!じゃあ、これで失礼しますねー」
その場を離れる直前、「狂ってる」という声が聞こえたが、それに反応せずに俺は楽屋を出た。
自分の愛が他の人と違うのも、俺が狂っているのもとっくに知っている。
廉のことが好きすぎた結果だから、これは仕方ない。
自分達の楽屋に戻ってくると、他のメンバーは居なくて廉だけがスマホを弄って待っていた。
「廉、お待たせ!すぐ準備するから、ちょっと待っ…」
「かいと」
ボソッと呟いた声で呼ばれたかと思えば、思いっきり抱き着かれて、背中に回された手は俺の服を強く掴む。
「れ、廉…?」
「女の人に呼ばれとった。何してたん…?」
「嫉妬してくれたの?廉」
「ん。海人、モテるから心配になった」
「もー、可愛すぎる!心配しなくても、俺が好きなのは廉だよ。これから先、廉以上の人なんて現れないから」
そう言って抱き締めてよしよししてやれば、嬉しそうに俺の肩に顔を埋めた。
「俺も海人だけやから。浮気したら許さへんよ」
「するわけないじゃん。廉のことしか愛せないのに。でも、そうだなぁ。一生ないと思うけど、万が一俺が浮気したら俺のこと殺して。俺の命も人生も、廉に預けてるから」
「海人がおらん人生なんて生きてても意味ないから、そうなったら俺も死ぬ。浮気できひんな?」
してやったり顔の廉が可愛くて、顔がにやける。
互いに依存しているという意味では、俺も廉もきっと同じなんだろう。
「紫耀達が待っとるって」
「え!?先に言ってよ!怒られちゃうじゃん!」
廉が浮気したら、俺はきっと二度と廉を外の世界に出さないだろう。
永遠に閉じ込めて体も心も隅々まで俺のものにして、俺の深いところにまで堕ちれば良い。
ねぇ、廉。
「早く堕ちてね」
【完】
ちょっとダークネス海人を書きたかった。
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作者名:あんず | 作成日時:2023年8月7日 13時