伝染サテライト�� ページ10
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また言ってくれる？…だって。
言うよ、もちろん。
何度でも大声で。
けれど、まだ言わない。
『うん。風邪が治ったら、ね。』
『っ、！？……けほっごほっ』
体調管理が最優先。
声変わりで掠れているだけならまだしも、上擦っている上に僅かに呼吸が浅いし荒い。
『…あー、もう全部バレてる……ゴホッ』
おそらく大きな咳を堪えたせいか、時折言葉が途切れていて。
それで気がついたのだ。
『うまく誤魔化せた、と思った、のに』
『上手だけどね。探偵チームkzを舐めちゃダメよ』
もっとも通話口に耳を押し当てて、吐息を聞いていましたなんて、言えるはずがない。
『ははっ、さすが』
諦めたように大きく咳払いする声まで色っぽい。
艶やか、という表現が相応しい程に。
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『隠すぐらいだから結構熱出てるでしょ、電話はまた今度にしよう』
『えー、やだ。…………絶対かけろよ？』
珍しく甘える話し方が可愛いなんて言ったら、拗ねてしまいそうだ。
『ふふ、約束するから。薬は飲んだの？』
『ん。』
『拗らせないように早く寝てしっかり治してね』
『はあい』
『ちゃんと休むんだよ、』
『はあーい』
『…ちゃんと聞いてる？』
鬱陶しかったかな。
疲れていたところに電話して、悪化させてしまったかな。
…なんて、心配したのも束の間。
『なあ、今のやりとり夫婦みたいじゃね？』
だめだ、こいつ。
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作者名：祈島世字 | 作成日時：2023年9月14日 17時
