ミッド、ナイト、ブルー (ページ8)

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伝染サテライトページ8

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プルルルル、と何回かの呼び出し音が鳴って。

『…もしもし、アーヤ？』

どうして相手がわかったの、なんて聞かなかった。

自らと同じ理由。

つまりは番号を覚えているのかな、なんて。

『うん。砂原君？元気？』

先の事件で再び離れて以来、まともに会話するのは1年ぶりだったからか、

受話器を持つ手が、緊張で僅かに震えていた。

『…っあ、…ぇえと…』

『…ふ、どしたの？緊張してる？』

口どもりながらも、電話越しに余裕そうにからかっている声も若干震えているのに気づいて、少し安堵する。

『う、ん。砂原君よりもっと緊張してるかも』

『…バレた？』

カッコ悪！という声が離れて、共にペシっという音が聞こえる。

手のひらで目を覆ったのだろう。

爽やかでカッコいい彼のことだ。
そんな仕草もきっと様になっている。

『仕方ないよ。すごく久しぶりで声も覚えているかどうか怪しいのに』

『忘れてた？』

『忘れないよ。』

『それはよかった』

全くずるい聞き方をして。
確信犯でしょ。そう言いたいのをグッとこらえる。

たった一度聞いた番号だって片時も忘れなかったのだ。

顔や声を忘れるはずがない。

…けれど、確かに記憶とは少し違ったかもしれない。

『なんだか少し、声変わりしたの？』

電話越しだから、もしかしたら音声の都合かもしれないけれど。

前より僅かに掠れて聞こえる。

『あ、ああ。確かに、最近声出しにくい、から、変わってるとこ…かも。』

そっか、砂原君も成長期だもんね。と当たり前のことを思った。

出会った時から大人びているから、いまいちピンとこない。

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『…。』

声を出す前に緊張が上回ってしまい、何を言って良いのか分からなくなる。

『何か、あった？』

促すように聞いてくれる。

けれど、色々あったというか、むしろ何もない。

『困り事？』

『ううん、困ってるわけじゃないよ』

『なら、良かった』

いやいや今ちょうど、十分困っている。

折角、言葉も内容も考えたんだけどな。

頭が真っ白になって出てこない。

どうも砂原相手だと、国語のエキスパートはうまくいかないらしい。

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