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「あいつ顔もいいし、背は高いし、器用で、情に熱いのに気づいたらすっと離れて群れないしさ、なんか主人公って感じすんだろ？」
「当時の若武坊やはマーベルにご執心だったから、重ねちまったわけだ。」
「うるせえ」
「僕は、若武も主人公タイプだと思うけど。あ、みんなが違うって意味じゃなくて。」
それまでニコニコ話を聞いていた小塚が加わる。
「若武センセはもってるやつだぜ」
「生涯目立ちたがりだもんな」
「小塚しか俺の味方はいないのか。」
「まあまあ」
「とにかく、サッカーにおいてもあいつセンスあるし、何でもできるんだ。少なくとも俺にはそう見えた。」
息巻くように告げて、
「上の世代にも劣らねえ、怯えねえ、生意気って言われちゃそうかもしれんが、まあ、あれだ。ダークヒーローって感じだ。」
神は二物を与えんって嘘だろって思った。
そう付け加えた若武に、他の男子群が珍しく同調する。
「実際あいつ二つどころの騒ぎじゃねえよな」
「俺らも多分持ってる方だけど、向こうレベチだもん。」
「7人でやっと1人の砂原翔と対等なんだぜ？やってられん」
「俺たちに足りないのはあの精神力だよな間違いなく」
「俺らメンヘラばっかってことかよ。」
このなかで最も“メンヘラ”と程遠く見える上杉が投げやりになっていうものだから、立花はクスクスと笑った。
「戻すぞ、俺ポジションで先輩に何回かいびられたことあってさ、」
「若武がいびられた？」
「いや、ほぼ確実に噛み付いてるよきっと。」
「ゴール下になって二度目の試合で調子良くて、確か、もうそこは固定だって騒がれてたんだ。固定することはないけどまあそんくらい盛り上がると前ポジションついてたやつは腹立つだろ？」
そのときのいざこざ具合は容易に想像がつく。
「俺が水道で水飲んでる後ろからそいつと何人か固まってボール蹴っ飛ばしてぶつけてきてさ。口ん中噛んで血出た俺みてエースなら避けろって、せっかくの自慢の顔が台無しだなっつって」
まあ歯は欠けなかったから、特に外見ダメージ無かったんだけど。
「うわ、最悪」
「だるいなそいつ」
「プライドねえな」
…彼らの会話は相槌やリアクション含めてテンポが良い。
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作者名：祈島世字 | 作成日時：2023年9月14日 17時
