It’s so obvious 3[ブラッドハウンド] ページ38
互いに体力はほとんど残っていない。二人で死を待つような面持ちだ。この場でリングの縮小を待つか、私は戦うことを半ば諦めかけていた。それでもこの人はそうではなかったらしい。
「A、立って。私たちは今から一時的な協力関係を築こう。ひとまず安置までは二人で行動するよう動く、そしてそこからはまた敵同士だ。良い？」
「だ、大丈夫ですけど……私たち回復も間に合ってないのに」
「ここにいても、リングに追われて別部隊に潰されてしまうだろう。それよりも素早く移動して互いに物資を探した方が効率的だと思うが」
「で、でも」
「A」
動いた先で撃たれる確率の方が高い気がして私は移動を渋る。腰を浮かせない私を見て、ブラッドハウンドは顔を寄せてきた。
「A、私を見て」
「え、なん……ん！」
勢い良く襟を引かれて唇が重なる。性急に舌が突き入れられたかと思うと、呼吸だけ奪ってさっさと離れてしまった。
「え、え！？」
「これで立てるだろう？言う事を聞いてくれるか」
ずるい、それはいくら何でもずるい。言われた通りにするしかなくなるのだから。この人が私にキスをする理由に有無を言わせない為、が間違いなく入っているな、そう思った。
「私で遊んでるんですか！」
「そんなつもりはない。私はあなたに想いを馳せる時はいつでも本気だ」
結局、その場を飛び出してしまった。何だか良いように手のひらで転がされているように感じてブラッドハウンドに文句を言うが、澄まし顔で答えられて尚更、むかむかしてきた。
「もし、あなたか私がチャンピオンを獲ったら……そうだな、その時は私の部屋に。戦場では口付け一つにも邪魔が入ってしまう」
また、確約だ。私はブラッドハウンドとキスをする為に戦っている訳ではないのだが。また一つ負けられない理由が出来てしまう。あの人からのアプローチは突然過ぎてとても付いていけない。けれど望んでそれに振り回されている自分もいた。チャンピオン、どうだろうか。生き残ったところでまたブラッドハウンドと対峙することになるのだろうな。私はため息を付きながら、次にどう動くかをぼやぼやと考えていた。
like a knife[ブラッドハウンド]→←It’s so obvious 2[ブラッドハウンド]
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オーキッド(プロフ) - 最高に面白くかつ文才あふれる読みやすい小説でした。ブラハ沼に見事に落とされました。ファンとして続きを楽しみにしております。 (2021年8月19日 18時) (
レス) id: 500cf8b735 (このIDを非表示/違反報告)
名無し70039号(プロフ) - ブラハの小説ってすんごいレアだと思うので素敵な作品に出会えて私感激…胸キュンが止まりません！！！！！更新楽しみにしてます！！ (2021年6月18日 10時) (レス) id: 6045cd7502 (このIDを非表示/違反報告)
椿麒麟(プロフ) - 体が痺れるぐらいとても素敵なものを読ませていただきました！更新楽しみにしております！ (2021年6月1日 7時) (レス) id: 5450775e17 (このIDを非表示/違反報告)
まるきち(プロフ) - ブラハが好きで楽しくきゅんきゅんしながら拝読させていただきました。とても幸せです(*'-'*)更新楽しみにしております！ (2021年5月24日 22時) (レス) id: 27e019c0a7 (このIDを非表示/違反報告)
たろう - 3ヶ月程前に見つけまして密かに読ませて頂いておりました。ブラハ大好きなので見つけた時は嬉しくて…読んでみたら私の中のブラハのイメージそのもの！ドキドキしながら何度も読ませて貰っています！お忙しいと思いますが続き楽しみにしています(*´`) (2021年5月23日 20時) (レス) id: b492fc9660 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無し者 | 作成日時：2021年1月5日 22時
