No.9* ページ12
･noside
……───────あれから、11年が経った。
Aは、長い間王宮の最上階の一室で一人、ただひとりで時を過ごしていた。
肌は白く、細身の身体。
まるで王女のような白いネグリジェに身を包み、華奢な体でベッドに横たわる。
部屋は設備が整えられており、暮らすのに何不自由無かった。
？？｢兄様！！｣
扉をノックする音が聞こえる。
Aを兄様と呼ぶ、幼い声も同時に聞こえた。
｢…ミラン……｣
Aは扉のそばに寄る。
向こう側から鍵が開けられて、勢いよく扉が開かれた。
MR｢兄様、あそぼ？｣
第2王子、ミラン。
カジ王国の次期王位継承者としてAの能力開放式の後に生まれた、Aの弟である。
齢は八、Aの十歳下である。
ミランはAの手をきゅっと握り、微笑んだ。
｢……。｣
MR｢昨日は来れなくてごめんね、お勉強してたから……｣
ミランは王家の血を継ぐ者であるため、Aの魔法は効かない。
実質この世でAに触れられるのは父であるシュア、弟であるミランのみとなった。
MR｢兄様の服、可愛いね。｣
｢……そうかな、｣
MR｢うん、お姫様みたい！｣
無邪気な笑顔でAを見つめる。
Aは無理やりに口角をあげることしかできなかった。
直接会って話せるのはミランとシュアのみで、後は壁越しにリンと、使用人たちとは必要な話だけする。
もう10年以上もこの生活をしているAは全て慣れ、特に外に出たい欲もなかった。
服装は脱ぎ着のしやすいワンピース型に変わり、次期王位継承者ともてはやされていた面影はひとつもない。
MR｢僕は早く素敵な女の子と結婚しないと。あ！兄様と結婚したらだめなの？｣
｢……っ、げほっ、｣
MR｢大丈夫！？｣
｢ぼ、僕は、男だよ……あと、お兄ちゃんだし、｣
MR｢そっかぁ、そうだよねぇ……｣
代々続く王家の伝統は、時に呪いと称されることがある。
ひとつは男系であること。
王家に女が生まれたことは今までなく、生まれる子供は全て男であった。
さらに、魔法継承は第1王子のみである。
ミランには魔法の能力はない。
MR｢はぁ、兄様より可愛くって美しい女の子なんて……この世に存在するのかなぁ……？｣
しかし、ミランが将来王位を継承し、未来の女王との間にできた第1王子には引き続き能力が継承される。
つまりミランは。
王家の伝統を守るために……子どもを産むために生まれた第2王子なのである。
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名無し77872号(プロフ) - スミスキーさん» ありがとうございます！しっかり伏線回収したいと思います！ (2021年8月19日 21時) (
レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - お豆腐さん» ありがとうございます！続編も出ましたので是非チェックお願いしますー！！！ (2021年8月19日 21時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
スミスキー(プロフ) - この小説面白くて凄く大好きです！！更新頑張ってください！！ (2021年8月14日 12時) (レス) id: 78ab9a25ad (このIDを非表示/違反報告)
お豆腐(プロフ) - この小説すごく面白くて大好きです！！更新されるたびにニヤニヤしながら読んでしまってます笑 (2021年8月14日 8時) (レス) id: 236bbfcab0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し77872号(プロフ) - ヌナさん» ありがとうございます！コメントめちゃくちゃ嬉しいです笑 これからもよろしくお願いします！ (2021年8月2日 19時) (レス) id: 7a2b063138 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みぞのなか x他1人 | 作成日時：2021年7月14日 0時
