◎ 優しすぎる彼氏 (ページ29)

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長い長い沈黙は今まで感じたことないくらい、重たかった。

忠義の男らしい手が、あたしの頬に触れそうになったとき、自然と発した言葉はひどかった。

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『ごめ、ん』

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あたしは、忠義の言葉に今更手放しで喜べるほど子供でもないくせに、忠義の手を離せるほど大人でもなかったんだ。

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大倉「ごめん、って」

大倉「なんやねん、それっ…… 」

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『っ…また、連絡する』

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その場に居られなくなったあたしは必要最低限の物だけをもって、家を出た。

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どこへ行こう、頼れる人も行くあてもないのに。

連絡先を上からスクロールするけれど、この人だ！って人がいない。

きっとすばるくん達はバイトだろうし…こんな時に章ちゃんに頼れるわけもない。

連絡先をスクロールしてると歩いているあたしの隣にピッタリくっつく車。

……なにこれ、不審者？

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こーいうときってどうするの？警察？え、

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「あー！ほらやっぱりAちゃんやった！」

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窓が開いたと思えば口角を上げて笑う錦戸くんがいた。

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