お嫁さんを探せ ページ11
女将さんに連れられ、荻本屋に着いた俺たちはまず、猪子の化粧を落とすところから始まった。
｢どうよこれ！！｣
｢きゃーーっ！すごい！｣
宇髄作の化粧をしっかり落とした猪子の顔は美しく、荻本屋の女性たちは大喜びだった。
｢変な風に顔を塗ったくられていたけど、落としたらこうよ！すごい得したわ。こんな美形の子安く買えて！！｣
部屋のすみでそんな会話を聞きながら、荻本屋に潜む鬼の気配を探っていた。
確か荻本屋には�爐泙�を�瓩気鵑�いるはずだが。
｢ほらアンタもおいで。｣
｢！｣
不意に声をかけられ顔を上げると女将さんと猪子が部屋の入り口でこちらを見ていた。
もう一人の女性が俺に手を差し伸べていた。
一つ頷き、彼女についていく。
ドタドタと女将さんは気合十分で、猪子を仕込むらしい。
｢じゃあこの着物に着替えておいてね。｣
女将さん達が部屋を出た瞬間、猪子はぐったりとした。
｢お、おい大丈夫か？｣
｢ゔぅぅ…！気持ち悪い！今すぐ脱ぎたい！｣
｢ダメだ。そんなことしたら、……あ、
……山の王…だったか？山の王はそんな簡単なことも出来ないのか？｣
スルスルと着ていた着物を脱ぎ、用意されていた召し物に袖を通す。
俺の言葉が効いたのか、猪子は｢んなわけねぇだろ！なめんじゃねぇ！！｣と、とんでもなく大きな声で怒鳴り、直ぐに着替え始める。
｢あんまり大きな声を出すな。気づかれる。｣
｢ぅんむ、わかった。｣
｢よし、いい子だ。恐らくずっと一緒には行動することは難しいだろうから、一人でも頑張るんだぞ。｣
猪子の曲がっていた帯を直したところで丁度一人の禿の子が入ってきた。
｢あなた、えっと、Aさん、連れてきてって言われたから……。｣
｢……。｣
俺は猪子の肩をポン、と一つ叩いてから無言で立ち上がり、禿の子の後に次いだ。
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年11月3日 23時
