遊郭潜入大作戦 ページ10
ついに花街へ繰り出した俺たちは宇髄に連れられまずはときと屋に向かった。
｢不細工な子たちだね……。｣
ときと屋の女将さんはそう呟いた。
俺は嘴平くん基猪子が買われるまで、待機だ。
俺と嘴平くんが一緒になった理由。
一つ、彼は感覚が研ぎ澄まされているらしく、着物を着ている状態がかなり苦しいらしい。
言動を見る限り、素直なところが見受けられるためイラつきが爆発すると、一瞬にして作戦がパーになる可能性があるのだ。
そのストッパー役として俺は大抜擢された。
そして声が出せない。
俺も中々だが、かなり太めの声だ。そんな彼に裏声を出すことも強要すれば爆発を早めることになりそうだった。
辛うじて俺は簡単な会話ならやろうと思えばやれる。
さて、そんなこんなで炭子がときと屋に潜入することとなった。
｢ほんとにダメだなお前らは。二束三文でしか売れねぇじゃねぇか。｣
｢宇髄、それくらいにしておけよ。｣
チッと盛大な舌打ちをした宇髄に対して善子は大きなため息をつきながら｢口を利かない｣と返した。
……何だか不穏な空気だが、多分、大丈夫だろう。
｢オイ！なんかあの辺人間がウジャコラ集まってんぞ！｣
｢あー、ありゃ�牴岾‘暫罩瓩世福�｣
ざわざわと集まる人達の中心には煌びやかな花魁がいた。
｢｢ときと屋｣の�犖餡堂岾´瓩澄�
一番位の高い遊女が客を迎えに行ってんだよ。
それにしても派手だぜ。いくらかかってんだ。｣
ゆっくりと進む人たちに猪子はボソッと何か言ったが聞こえなかった。
｢ちょいと旦那。この子うちで引き取らせて貰うよ。いいかい？｣
｢！｣
｢｢荻本屋｣の遣手…アタシの目に狂いはないのさ。｣
｢�牴�本屋�瓩気鵝�そりゃありがたい。と、おや？｣
宇髄は猪子に目配せをした。
すると猪子は俺の着物をきゅ、と握った。
荻本屋の女将さんの目線が俺を射抜く。
｢！！こんな別嬪残しておく理由がないね！どうやらこの子も懐いてるみたいだし。｣
｢いやいや、それでは、達者でな、猪子、A〜。｣
……何とか上手くいったな。
それにいつの間にあんなこと猪子に仕込んでいたんだ。
ちゃんと声を出さずにいたし。
……いや、よくわかっていなかっただけか？
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年11月3日 23時
