二十三本目の火柱 ページ23
彼の背には背丈より大きい猟銃。
ガチャガチャと鳴っていて危なっかしい。
｢おい聞いてるのか？｣
｢これでおしゃべりロシア人から犬取り返す！｣
｢流石に殺しちゃダメだろう。それなら私がやってやろうか？｣
だからその銃を渡しなさいという意味も込めて手を差し出したがチカパシくんがブンブンと首を振った。
｢俺たちだけで取り返すの！｣
じっと見つめられ瞳の奥の決意に渋私は了承した。
まあ本当に危険になれば私が手助けをしよう。
｢しかし取り返すと言っても具体的にどうするんだ？｣
｢さっき来る時におしゃべりロシア人見たんだ！｣
｢仲間なのにスチェンカに行ってないのおかしい…。｣
なるほど、彼が犬を見張っているためにそこから動いてないのか。
……子供だと侮ってはいけないなあ。
そうと決まれば例のおしゃべりロシア人の元に向かおう。
.
チカパシくん達におしゃべりロシア人を目撃した場所に連れてってもらう。
足跡と建物の明かりがある方へいくとおしゃべりロシア人が見えた。
｢ここがおしゃべりロシア人の家だ。｣
窓から中を覗くも目当ての犬はいない。
となると、いるとすれば、
｢あそこか、。｣
おしゃべりロシア人が犬にやるエサのようなものを持って入っていった小屋。
そこに犬がいる。証拠に吠える声も聞こえた。
おしゃべりロシア人が自身の家に確実に入ったことを確認してから小屋に近づいていく二人。
私は万が一おしゃべりロシア人が出てきた時のために家の近くに残っていた。
｢…？何を……ああ、鍵か。｣
当然といえば当然だろう。
そっと窓から顔を出すと窓に近いテーブルに簡素な鍵が雑に放置されていた。
｢ここからはどうする。｣
｢俺がカギを棒でとるから、もしおしゃべりロシア人が起きたらお願い！｣
｢ん、分かった。｣
あくまで手助けをするだけだから、全て彼らに任せているが順調だ。
扉のスグ横で待機をしているとエノノカちゃんの指示がボソボソと聞こえてくる。
…………なんだ？大丈夫か？？
｢ーーーー！！｣
｢ーー！ーーー！！｣
おっと…何か起きたみたいだな。
大方おしゃべりロシア人に気づかれたのだろう。
ならば私の出番か。
バンッと乱暴に開けられた扉から飛び出してくるおしゃべりロシア人。
スっと足を出すと見事にすっ転んでくれた。
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
