三十一個目の火光 ページ31
｢杉元さん、どうだ練習のほうは。｣
｢んー、色々言われるけどなんとかするよ。｣
休憩していたところを訪ねた私は杉元さんの隣にいた。
怨霊事について聞くために話題をふる。
｢杉元さんには死んで尚憎む相手はいるか？｣
｢えっ、どうしたの急に。｣
｢ちょっと参考にしようと思ってな。｣
参考？と首を傾げる杉元さんに事情を説明する。
納得してくれた杉元さんは苦笑いしながら憎い奴かー、とこぼした。
｢死んでも死にきれないくらい憎い奴、か。
そうだなあ、……きっと俺ソイツのこと連れていくかもな。｣
｢連れていく？｣
｢道連れだよ。死なば諸共っていうか。｣
｢なるほどっ！｣
自分だけ地獄に落ちるから憎いのだ。
相手すらも、地獄へ。道連れに。
そうすれば地獄でも相手に復讐ができる。
｢そういうことだったのか！杉元さんありがとう。杉元さんに相談して良かった！｣
｢そ、そう？役に立てたならいいよ。練習頑張ってね！｣
役になりきれない、すなわちその役についてのイメージがない。
ならばそのイメージを作ってしまえばいい。
�犹爐覆仆�共��
ストンと落ちる、わかりやすい表現だ。
｢先生！練習を再開しよう！｣
ーーー
ーー
ー
あれからそれぞれが沢山練習をつんだ。
私も先生に褒められるほどにはなった。
樺太公演当日になるとテントの横には�猊垰狄箸凌�元ハラキリショー�瓩箸任�でかと書かれた幕が。
エノノカちゃんもおじいさんと一緒に見に来てくれるそうだ(チカパシくんが張り切っていた)。
｢さあさあ満員御礼だよ！みんな気を引き締めていきましょうッ！｣
山田さんの声に皆の顔が変わる。
これで杉元さんの目的、アシㇼパさんに杉元さんの名を届かせることが出来ればいい。
あの後、先生と練習を再開した私は不思議と上手く演技ができた。
軽業も難なくこなせた。
怖いものは何も無い！
少し谷垣さんが心配だが、あんなに一番に練習していたのだからきっと大丈夫だ。
｢樺太公演開幕だ！！！！｣
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作者名：きょーりん | 作成日時：2019年3月23日 21時
