168話アウトサイダー ページ28
暴風によって吹き飛ばれたギルダーツは目を見開いた。
先程まで触れれば壊れてしまいそうだった子供から膨大な魔力が溢れ出ている。
普段なら研究者によって押さえつけられ、コントロールされているはずの魔力が解き放たれ、暴走しているのだ。
Aは呼吸を激しく乱し、息苦しそうに呻いた。
ギル「どうなってやがる…」
暴れ回る風は研究室を破壊していく。
この緊急事態にギルダーツによって気絶させられていた他の研究者たちも目を覚ました。
二人がいる部屋に一番先に辿り着いたのは、Aを連れ去った張本人だった。
「何してんだ お前ェ!?今更 俺らに歯向かおうってか!?」
言葉が吐き散らされた瞬間、辺りの風が止んだと思えば、男は風の刃で切り刻まれていた。
「あ、ぇ…?」
あまりの速さに男自身も気づくことなく血を吹き出して倒れた。
男の目は既に光を失っている。
次に風が狙いを定めたのは白衣の男だった。
風が空中に浮かんだままだったその男を圧縮すると、骨や肉が軋む音が響いた。その音は徐々に生々しい音へと変化し、最後には血が香った。
ギル「お前 何して…」
数多くのS級クエストをこなしてきたギルダーツだったが、このような惨状を目にしたことは未だかつてなかった。
異常を察知して部屋に入ってくる研究者を次々に嬲り殺すAを見据えると、その顔は悲痛に歪んでいる。
暴走する魔力の矛先は遂にはギルダーツにも向けられた。
『に、げて。殺したくない…こんなこと…っしたくない!!!』
涙ながらに訴えるAは今にも壊れそうだった。
ギル「…そんな顔の子ども残して家に帰ったらよォ…マスターに合わす顔がねえんだよ。俺はお前より強いから殺されねえし、心配すんな。」
そう言うや否や目にも止まらぬ早さでAに近づき、その細い首に手刀を落とした。
小さい体は力なく膝をつき、倒れそうになったところをギルダーツが支える。
ギル「高熱だな。早く帰ってどうにかしねえと…」
ギルダーツはAを抱えあげ、折り重なった血や肉を横目に原型をなくした扉をくぐった。
ギル「…こんな細くて小せえ体でどれだけのこと耐え抜けばあんな目をするようになるんだよ。よく頑張ったな 坊主。」
次にAが目を覚ました時見たのは
231人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ま い ま い(プロフ) - マナさん» あなたの小説に私を参考にしたと明記していただき、あなたのその小説を教えてくだされば構いませんよ〜 (11月7日 6時) (レス) id: 140028ed61 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 話参考にしたいのですが… (11月6日 19時) (レス) id: 73f360e95a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まいまい | 作成日時:2022年9月1日 7時