○ ページ34
「本当に悪かった…ごめん、A。
彼女のことはもう記憶もないほど忘れてて…今も全く、好きじゃないし」
「…………ほんと？」
「ほんと、だよ」
私がその彼女との馴れ合いが今もあるのかどうかを気にしていたのを察して、何度も頷いてくれる。
心の底から、ほっと、体内で息をつく声がした。
良かった…本当に、良かった。
嬉しい。嬉しいよ＿＿＿
「俺ほんと素直じゃないっていうか、今までの行動とかも全部、天邪鬼てか、ひ、捻くれてて……」
「いい。そんなこと、言わないで」
自分を蔑む言い分は、これ以上聞きたくない。
自分が思ってる以上に、素敵な人だよ。
「…………翠」
「！」
「私たち…なんでこんなにやきもきしてたんだろうね」
「………お互いが素直じゃないから？」
「ふふっ」
久しぶりに呼んだ名前は、やっぱり吃ることなく言える。
冗談ぽく言う翠の言葉も納得できて、自然と笑みが溢れてきた。
「………………」
「………………」
十年以上一緒にいるはずだが、私たちの間に無言の時間は存在した。
でも、侘しくない。
無常に感じられるだろうそれは、私たちにとったら距離を縮めてくれるものかもしれない。
「………寒いね」
会話のテンポを崩さないために言ったそれは、握られている手の力をぐっと強くさせる。
それだけでは、少しもの寂しい。欲張りだろうか。
そう思ったと同時に＿＿翠は私を強く抱きしめた。
ひとまわりも大きい体が、私を包み込む。
昔から嗅いできた心を癒す、翠の、野菜が混じった農園のように清々しい匂い。
世界一安心できる、大好きな匂いに纏われる。
耳の横でする息遣いを感じながら、翠の背中に腕を回して抱きしめ返した。
「………ねぇ」
「うん？」
翠の声が、耳裏から児玉する。
何を聞かれても受け入れる気持ちで、相槌を打った。
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5674C(プロフ) - たまたまきんきんさん» 嬉しいお言葉恐縮です！ありがとうございます！！ (2022年5月23日 12時) (
レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
たまたまきんきん(プロフ) - やばい、まだ全部読んでないけどやばい、何このときめき、やっば。狂いそう。 (2022年5月18日 14時) (レス) @page27 id: 4c9c318806 (このIDを非表示/違反報告)
5674C(プロフ) - 彩さん» 意識しました！！！！読んでいただきありがとうございます！ (2022年3月21日 0時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - なんだかめっちゃ青春！！！ (2022年3月20日 16時) (レス) @page48 id: be844da8b2 (このIDを非表示/違反報告)
5674C(プロフ) - ちゅーしちゃうぞ♡さん» ありがとうございます！！最後まで楽しんでいただけて、とっても幸いです！！^ ^* (2022年1月17日 6時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：5674C | 作成日時：2021年12月27日 14時
