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高峯は差し出していたエプロンをしまった。
私の後ろにある紐筒が、地面を擦る音がする。
高峯が自分から遠ざかった、という安堵で、ほっ、と息をつく。
が、その直後、首の辺りに何かが触れる感覚が体を伝いだした。
何が起きたのか考える前に、高峯の声が真後ろから聞こえてきた。
「汚したら、俺が母さんに怒られる」
エプロンを使わせる口実を考えていたのか。
はっきりと口に出した言葉が耳元でして、私は作業の手が止まった。
「い、いいって、言ってるのに……」
今日の高峯、おかしい。
妙に積極的で、優しくて、吹っ切れたって感じで………。
いつも優しい高峯。
だが、今日に限って高峯の何気ない優しさが、苦しい。
顔が、胸が___熱い。
「……さっきから思ってたんだけど、なんでそんなに顔赤いの?」
「‼︎」
___刹那。
色んな模範解答が、返答が、頭の中に浮かぶ。
声に出す準備は出来ていた。
だけど結局。
「……………」
私は、何も言わずに高峯の方を振り返っていた。
「……阿呆ヅラ、林檎みたい」
そう言い放つ彼の顔は、かつて出会ったことのない彼だ。
私を揶揄うのが面白くてたまらない。
そんな小悪魔のように、にやついた顔つきだった。
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5674C(プロフ) - たまたまきんきんさん» 嬉しいお言葉恐縮です!ありがとうございます!! (2022年5月23日 12時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
たまたまきんきん(プロフ) - やばい、まだ全部読んでないけどやばい、何このときめき、やっば。狂いそう。 (2022年5月18日 14時) (レス) @page27 id: 4c9c318806 (このIDを非表示/違反報告)
5674C(プロフ) - 彩さん» 意識しました!!!!読んでいただきありがとうございます! (2022年3月21日 0時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - なんだかめっちゃ青春!!! (2022年3月20日 16時) (レス) @page48 id: be844da8b2 (このIDを非表示/違反報告)
5674C(プロフ) - ちゅーしちゃうぞ♡さん» ありがとうございます!!最後まで楽しんでいただけて、とっても幸いです!!^ ^* (2022年1月17日 6時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:5674C | 作成日時:2021年12月27日 14時