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「風邪引くよ?」



暖房は効いているが、不安なAは千秋の肩を揺する。ただでさえ体が弱いのだから気を付けてほしいのだ。

千秋はうーん、と唸るばかりで移動する気が無さそうに思われる。

Aは仕方なく手に届く距離にあったブランケットに手を伸ばし、千秋の体の上に被せた。




「…Aの脚が、良い枕してる」

「……おバカ」



千秋はうつらうつらしながらそう言う。
Aは呆れていたが、表情には笑みが溢れていた。



「ヒーローにも休息がいるんだ」

「…でも、本当に風邪でも引いたらどうするの?お仕事できなくなるよ?」

「……引かない」

「そんなこと……」

「Aがいるから、風邪なんか引かない。
仕事だって、頑張れる」



Aは、ハッと目を見開いた。
千秋はたとえ夢現な状態でも、それを明確に言葉にしている。


…私が、いるから?

Aはその瞬間、自身の性根を恨んだ。

千秋が真っ直ぐ自分の心に言葉を突き刺してくれるのに、どうしていつも千秋のことを信用していないように考えるのだろう。

千秋の言葉に偽りがないのは、重々承知だ。
やっぱり自分は、自分自身を好きになれない自覚が消えていない。

こんなにも、千秋は私のことを、必要としてくれるのに。

馬鹿だな、私って。


Aはだから、千秋が羨ましい。そんな千秋に憧れ、千秋を、愛している。



「……ふふっ、私なんか、なんの戦力にもなってないのに?」



愛の確信は心を満たすが、彼ではなく、自分を信用していないという確信はAを苦しめた。同じ土俵に立つのが非常に烏滸がましい。

そんな想いから、Aはつい自分を卑下する言葉が出た。



「…そんなこと、言わないでくれ」

☆→←☆



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5674C(プロフ) - Umiさん» 嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年3月4日 10時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - めっちゃキュンキュンしてしまいます(˶'ᵕ'˶) (2022年3月3日 16時) (レス) id: a9ba311e8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:5674C | 作成日時:2021年11月17日 2時

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