1【三人称視点】 ページ1
月曜日。それは社会人が最も忌み嫌う言葉である。
再び五日間連勤の一週間が始まる恐怖。そんな心持ちでこの大都市は包まれていた。
とあるマンションの一室に拵えたダブルベッドの上で、ゆっくりと瞼を開く女は大衆とは外れていた。
その女は起き上がり、窓にぶら下がるカーテンを見るや否や、ぼうっとした頭を覚まそうと布団の上で体の節々を伸ばし始める。
隣で寝息を立てる茶髪の男の後頭部に微笑み、ベッドが軋む音さえ立てずにリビングダイニングへつながる扉を開き、寝室を抜ける。
昨晩食卓に出しておいた萌黄色と白のストライプ模様のエプロンの紐を腰裏で結び、手首に吊るしておいた髪ゴムで髪も結う。
冷蔵庫から卵を二つ取り出し、昨夜仕込んだ料理を調理場に広げ、フライパンをコンロに設置する。
ボウルに卵を割り入れ、菜箸で素早く溶き始めたその時__
「だーれだっ」
「きゃあっ!」
眠気の混じった囁き声に心臓が跳ね上がり、手の動きが止まった。
女は後ろの男の姿を確認してくすりと笑みをこぼした。
「もう、千秋しかいないでしょ?」
驚かさないでよ、とお腹の前にある自分よりもひと回り大きくて骨張った彼の手を両手で包んだ。
女の肩に乗せられた男の顔は、幸せで満ち溢れている。
「いじわる。起きてたんでしょ?」
「ふふ、どうだろうな」
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5674C(プロフ) - Umiさん» 嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年3月4日 10時) (レス) id: e6d0696709 (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - めっちゃキュンキュンしてしまいます(˶'ᵕ'˶) (2022年3月3日 16時) (レス) id: a9ba311e8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:5674C | 作成日時:2021年11月17日 2時