目を覚ませば松野カラ松になっていた件について。 (ページ10)

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_2.1戻ってこい。ページ10

KARA SIDE

『.....』

肌寒い季節から逃れるようにマフラーに顔を埋め、夜道を歩む。

二階に上がってみたものの、何もすることはなかった。

だから誰のかもわからない適当な服に着替え、そのまま抜け出した。

『ﾍｯ..ﾍｯｸｼｭﾝ!!』

紫のパーカーにピッチリとしたジーンズ。

マフラーがあってもやはり少し寒さを感じさせる。

『さっむ』

一つの公園を通り過ぎ、華やかな街が目に入った。

とりあえずどっかの店に入ろうと、一瞬立ち止まった足をもう一度進めた。

『金無さすぎ...』

誰の財布かはわからない財布を覗いてみたが、二千ちょいしか入ってない。

この体の主を含めて六人とも働いてないもんな。

金なんか入ってるわけないか。

空っぽの財布をポケットに、華やかさとかけ離れた裏路地へ一歩踏み入れた。

適当に五分くらい入り組んだ裏路地でぐるぐる回っていると、怪しげな店を発見し、そのドアを開けた。

「いらっしゃーい」

すぐ横から聞こえてきた甘い女の声。

『最低賭け金っていくら？』

「一万、お兄さん初めてだから五千からでいいよ」

予想通り、違法もしくはギリギリ違法じゃない賭場。

でも残念ながら俺は五千も持っていない。

『二千じゃダメか？』

そう問えば、その言葉を聞いた客らしき人物たちの品のない笑い声が響き渡った。

「お兄さん、ここがどういうとこかちゃんと分かってる？」

『分かってる』

「...ふーん、一回だけならいいよ」

『内容は？』

トランプを持っている客らを一瞥し、女に聞いた。

「ポーカーよ」