エ、刀種？苦無ダけど

三 ページ3

迷子だったらしい一振の刀剣男士を、仲間の方に返した


またな、とは言ったが、また会えるか如何かなんて知らない


…それにしても、あの刀は随分と怪我を負っていた


破壊の一歩手前の重傷だろう


あのまま殺した方が良かったのだろうか


…いや、私が怪我を負っていたとはいえ手練れの刀剣男士を殺したとなれば、目を付けられるかもしれない


なら、やめておいてよかったな


私は表には出さず、体の内側で溜息を吐き、私の本丸へ帰ろうと歩き出した


私達歴史遡行軍にも、本丸がある


誰が作ったのか、なんてのは当たり前だけど知らない


例えとするなら、人間の子供が、何故その家に住んでいるかを考えないように


もし私が人間の子供だったとしても、全く考えないだろう


…まぁ、そういう事だ


要は、私達の中では、当たり前で、考える方が可笑しい事なのだ


私達を作り、そして、歴史を変えるように命令したものが作ったのだろう


だけど私は、私達は知らない


その、人間達側から言えば黒幕の傀儡(かいらい)だとしても、私達は自分達で結束し、自分達で歴史を変えようとしていると思っている


言ってしまえば、私達は意思があるとしても、単細胞なのだ


細かい事を考えれない、考えようともしない、……まず、気付けもしない


私の様に気付いたとしても、口に出さない


そう結論付け、確りと前を見る


すると、六つの気配を感じた


それも、私達の様な汚い霊力の気配などではなく、綺麗な六つの気配


……刀剣男士の部隊が近い


私はそう悟ると、すぐさま身を隠した


といっても、広いだけで、あまり隠れることが出来ない


相手が短刀や脇差であったなら、簡単に見つかってしまうだろう


息を潜め、悟られまいと気配を押し殺す


どうか、そのまま通り過ぎてくれ

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