05: 先輩の事は先輩に聞こう。 ページ5
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「はーい、10分休憩でーす!」
先輩と別れた後、ちょうど練習試合の区切りがいいところで休憩の合図が聞こえる。
今日は木兎さんが調子がいい。その事を褒めながらタオルで汗を拭う。
確か先輩が『木兎さんの周りに明るい子が飛んでる』って言ってたな。
それと、何か関係があるのかもしれない。
先輩、凄いな。
「……あの、木兎さん。琴さんって普段どんな感じなんですか。」
「ん?んー、俺はあんま知らねーわ!女子の方が詳しいんじゃね?」
そう言えば、木兎さんはドリンクを配り終わったマネージャー2人を呼んだ。
「何よ木兎〜」と、俺たちに近づいてきた白福さんと雀田さん。
「あんさ、琴Aって普段どんな感じなんだ?」
「あ〜、琴ちゃん?」
「なに、木兎気になんの?」
雀田さんの言葉に「俺じゃねーよ!あかーし!」と叫ぶと、2人は「え〜!赤葦ー!?」と揃って驚いていた。
「琴ちゃんは、とにかく不思議ちゃんかな〜。」
「休み時間はいつもフラフラ消えてる。」
「可愛いんだけどねぇ〜」
やっぱり、と言うか答えは想定内だった。先輩は普段から、あんな感じなようだ。
特にひどいイジメに遭っている訳でもないらしい。
3年生だからそんな事している暇も余裕も無いってことだろうか。
ほっ、と俺は心の中で胸をなで下ろした。
「あ、はーい!休憩終わりー!」
と、琴さんの事でひとしきり盛り上がっていたらいつの間にか休憩の時間が終わってしまった。
選手達はゾロゾロと、コートの中に戻って行く。
俺も戻ろうと動けば、クイッと誰かにゼッケンを引かれる。
「赤葦、もしかして、ラブ?」
ハートマークを作ってそう聞いてきたのは、ニヤニヤしている白福さん。
ラブ、とは俺が先輩の事を好きだという事だろうか。
「ラブじゃないです、でも、なんか世話焼きたくなります。」
「ほう……?」
なるほど〜、と意味ありげに呟く白福さんを見ていると、向こうから木兎さんに呼ばれる。
俺は急いでコートに入る。
世話を焼きたくなるのは、先輩がフワフワと何処かに飛んでいきそうだからだ。
先輩の俺たちには見えない何かが見えていることが、
一番気になるのだ。
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作者名:高原 | 作成日時:2018年2月17日 12時