100話(´ε` ) ページ28
私は別に恋人が欲しいとか思ってるわけじゃない。
でもそのふたりを見ていると、胸が苦しくて羨ましいと感じる。
それはつまり、恋人が欲しいということなんでしょうか?
「…って、俺に聞かれてもね…」
「他にいないんです、思い当たる人が。」
夕日が暮れ始めている。窓から差し込む光は弱くなっていく。
ひとつの部屋にぎこちなく向かい合わせに座るふたり。
「一年には断られました。だから及川さんしかいないんです。」
私は今、及川さんの部屋に押しかけている。家の前で断固として動かない私を、仕方なくいれてくれた。
相談をしに来たのだ。他の人では相手にされない、それに及川さんはハズレではないはず。
「…わかったよ。」
無理やりと言っていいくらい強引に了承させてしまった。罪悪感がないわけでもない。
「…Aちゃんは、そのふたりが羨ましいから自分が恋人を欲しいと思ってるのかなってことを相談したいわけ?」
「まあ、そんな感じですね。」
及川さんの部屋、おしゃれな感じかと思ったら普通に綺麗な和室。普通すぎて、入った時は及川さんの部屋だと思わなかった。
「俺は、羨ましい=恋人が欲しいって言うのは必ずしも一致するわけじゃないと思うよ。」
ジャージの上を脱いで半袖とジャージのズボン。いつも見ているけどまじまじと見たことはなかった。
足の短いテーブルに肘をつけて、手に顎を乗っけている。
少しだけ、不機嫌な感じがする。
「例えばAちゃんは、恋人が欲しいんじゃなくて、好きな人がいてその人とこうできたらいいなとか思ってるんじゃないの?」
不機嫌が声にまででている。表情は変わらないのに。
「その人と、恋人とまではいかなくていいから、少しでもそばに居たい、話していたい思うから羨ましく感じるとか…。」
「俺にも全部わかるわけじゃないよ。本心は誰よりもAちゃん自身がよくわかってるはずだから。」
その目は真っ直ぐ私を見ていなかった。逸らして、俯き、目があいそうになると逸らす。
私は真っ直ぐ目を見ていた。話している時ずっと、悲しそうに切なそうに話す及川さんの目を。
窓から見える空は、既に藍色に染まっていた。
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あおインコ(プロフ) - あやの♪さん» ありがとうございます!!まさに青春です…。もちろん精一杯楽しみたいと思います!!これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年4月8日 7時) (レス) id: 2941e47bdf (このIDを非表示/違反報告)
あやの♪(プロフ) - 高校進学おめでとうございます!青春真っ只中って感じですね(*´∀`*)高校生活楽しんでくださいね! (2017年4月8日 1時) (レス) id: ece222c786 (このIDを非表示/違反報告)
あおインコ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。待っていてくださり本当にありがとうございました。これからまた更新再開しますので、よろしくお願いしますね(*^^*) (2017年3月2日 14時) (レス) id: 2941e47bdf (このIDを非表示/違反報告)
あい - 長文でごめんなさい。 (2017年3月2日 1時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか僕が読んでるやつに更新停止の作品が異様に多いきがしてならないのですが。しかも受験生が多い!とまあ、愚痴はこれぐらいにして早く復帰してくださいね。結構夢主と及川さんの絡みが好きなので!待ってます! (2017年3月2日 1時) (レス) id: 65300ee319 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおインコ | 作成日時:2016年7月14日 18時