危ない蜜２【歌い手短編小説】

お酒の飲みすぎにはご注意を : 天セン３ ページ29

『ご、ごめん！
今のは違うの…！』






「A……」









『え…？

ひゃ……！？』









センラさんにそう
低く囁かれたかと思うと


そのまま無言で
壁に押し付けられる。



予想外の出来事に

私は驚いて小さな悲鳴を上げた。








『あ、あの…？』





「ちょっとさっきから…
煽りすぎちゃう？」








煽…る？



私の頬をサラリと指で撫でて


センラさんは意味深に笑うが、

私はその意味が良く分からなかった。







「っちょ…！
センラさんダメだって…！」






「んー？
なんや天月くん、本当は
天月くんも思ってたんやろ？」







「そ、それは…」







言葉に詰まる天月くん。


天月くんも思ってたの…？





私は天月くんのその態度に驚いたが



次の言葉の方が驚愕だった。









「それに…









天月くん、Aの事好きなんやろ？」









「なっ……！？」








『……えっ？』









いつも道理余裕な表情のセンラだけど

私と天月くんはもう魚みたいに
口をパクパクして、戸惑っていた



天月くんが私を？



チラッと天月くんを見てみるも


天月くんはセンラさんの方を見て

ただ固まっているだけで



一瞬こちらを見た気がしたけど
すぐに逸らされた。









「俺が知らんとでも思った？
天月くん見てればすぐ分かるよw」







「…センラさんだって好きじゃん」






「あちゃ、バレてたか」








そうケラケラと腕を組んで笑う。


……センラさん…？天月くん？



ど、どういう事







「…とにかくさ、俺もセンラさんに
渡すつもりないから。

Aは絶対俺の物にする」






「そりゃ…俺だって渡す気無いよ？」





バチバチと火花を散らす
二人の間に挟まれた私は、


どうすることも出来なくて

ハラハラと見ていると



不意にセンラさんが
私の肩を抱き寄せる





そして強引に顎を掴むと



そのまま唇を奪われた。









『んんっ！？』






「ん…」








噛み付くような激しいキスに

頭も身体も付いていけない。







「ん……ごちそうさま」






『な、なにして…！？』






唇を離して、満足気に微笑むと

次は天月くんを挑発的に見る








「…良いよ、別に
それは譲る。

……でも






この先の“初めて”は


全部俺の物だから。」







丸い穏やか月照らす中、


二人の激しい“争奪戦”が始まった。









END

束縛の鎖 : after the rain●〔一松カワイイさんリク〕→←お酒の飲みすぎにはご注意を : 天セン２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す