瑠璃色の瞳.2 ページ15
お菓子の世界に踏み出してみたいなんて思っている私には経験を積むいい機会のはずだ。
あれこれ考えているうちに、家庭科室の大窓から佐曽塚くんがやってきた。
スパイクを脱いで靴箱におき口に指をあててそ〜っと移動してくる
『どうしたの？』
「シッ！キャプテンに見つかるかも…」
ボソボソと辺りを見回しながら行く限り、近くにキャプテンさんが来ているのだろう。
『みつかるのが嫌なら来なければいいのに…』
「シ〜〜ッ！」
冷や汗を垂らしながら焦っているように私の言葉を遮る。別に今日はチクリに行っちゃう加奈子も優里もいないのに。
グラウンドに背を向けてベターっと窓の下の壁にひっつく姿はとてもシューリングだった。
そう、瑠璃色の瞳の彼と同じクラスの2人がからかってそっと
「佐曽塚くんティーブレイクしてるよ(笑)」
と報告してるらしい。なんだよティーブレイク(笑)って。
笑い事で済んでいるから楽しくはあるのだ。でも、今日は私一人。安心してティーブレイク(笑)をしてもいいのだと思うけれど。
ふと窓の外を見ると、何かを探しているような瑠璃色の瞳の彼がいた。しゃがみこんで佐曽塚くんにひとつ質問をした。
『あのさ、キャプテンさんの名前って…』
「ん〜？水神矢成龍だよ」
教えてくれてありがとう、立ち上がりそう言おうとしたのだが、私に気づいた水神矢くんがこちらへ向かってきていた。
…私に気づいた？
どうしてこっちに来るのか。
彼の目的は、きっと私の足元で
「ふぃぃ〜今日のお菓子なに〜？」
と呑気に聞いてくるやつだろう。調理台目掛けて立ち上がろうとする佐曽塚くんの頭を慌てて上から押さえ込んだ。
「ふぎゅっ！」
気の抜けた声が家庭科室に響く。私は何故か冷や汗を流していた。
「なにするの五十嵐？！」
頭を抑えられた状態で佐曽塚くんがこちらを見てくる。意外とふわふわした髪の毛だ。
『あ、ご、ごめん。あのキャプテンさんが…』
そうこうしているあいだにひらひらと手を振りながら水神矢くんが駆け寄ってくる。
下を向いて状況を説明してもバレる。押さえ込んだままでもバレる。
コンコン、と窓が鳴る音がした。
佐曽塚くんがびっくりして体を硬直させるのを見届け窓の外を見ると水神矢くんがなにか聞きたげに立っていた。
カラリと窓を開ける。
『あの、何かありました？』
「突然すまない。佐曽塚がこっちに来てないか？」
ですよね。貴方がここに来るのは彼を見つけるためですもんね
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ぴー(プロフ) - ありがとうございます！ (2018年11月6日 22時) (
レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - ぴーさん» 了解しました。どう掲載するか等検討致しますので、しばらくお待ちいただけると幸いです。 (2018年11月6日 20時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴー(プロフ) - 名前のない夏の綱海sideがみたいです！お願いします！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: e7c4929f27 (このIDを非表示/違反報告)
透(プロフ) - 宮さん» 読者の皆様にどう思われているか心配でしたので、そう言って頂けてとても有難いです。これからもよろしくお願いします。 (2018年8月29日 16時) (レス) id: 5a32253be5 (このIDを非表示/違反報告)
宮 - 解説の基山ヒロトの解釈がとっても合っていました。基山ヒロトは基山ヒロトなんですよね…！凄くわかります！他のお話も凄く素敵でした。きらきらと美しくて、まるで夢を見ていたようでした。素敵なお話をありがとうございます！ (2018年8月29日 10時) (レス) id: d974ddd08e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：透 | 作成日時：2018年7月9日 20時
