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下に降りるとすでに準備は終わっていた。
「Aおそ〜い」
「うるさい」
文句を言う花梨の頭にタオルを乱雑に被せる。
「じゃあ食べましょう」
梨紗の一言でみんな声を合わせていただきますと言う。
「ねぇおつまみ作ってくれるんじゃなかったん?」
「はいはい、作りますよ」
「やた〜!」
2人はカウンターに移動する。
「ちくわにきゅうりでもぶっ刺しますか」
「なんか適当じゃね」
「夕飯がおつまみってことで」
「ちくわにきゅうりぶっ刺しましょう」
冷蔵庫からちくわときゅうりを取り出す。
「お姉様!とても美味しいです!」
瞳を輝かせてそう言う司。
「あ〜そう?どうも〜」
「はい!」
司の発言がきっかけでみんな口を揃えて美味しいと言う。
「良かったね。みんな喜んでくれて」
「そうね」
はいっと花梨の目の前におつまみを置く。
「ありがと〜!」
「い〜え〜」
おつまみも作ったので食卓に戻る。
「なぁ姉ちゃん、どんな?大人数での食事」
席に戻ると向かい側の席に座っている亮がそう聞いてきた。
「ん?いいんじゃない?」
「いや、昔と比べて」
「昔〜?」
亮に言われて昔のことを思い出す。
「昔と今、どっちの方が美味しい?」
「今」
「即答」
返答の速さに思わず吹き出す亮。
上辺だけの明るい食卓よりもずっと今の方がいい。
ふと鍵のことを思い出す。
戻りたくないな。
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作者名:ねこ | 作成日時:2018年4月1日 20時