６１：幽霊の遊戯『言葉の力は不思議だね』 ページ11
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「っていうことがあってねー？」
「クフフ…それは滑稽ですね」
爽やかな草原でしゃがんで話す二つの人影。
初めて会ったときから十年近くたった今でも
唯と骸は定期的に精神世界で会っていた。
最初こそパイナップルで始まっていたが、
十年間で二人はかなり仲良くなっていた。
「むっくんはさ、いつ頃こっちに来るの？」
「あー…どうしましょうねぇ…」
「来るなら早く連絡してね。
ご主人に頼んでお家の手配してもらうから♪」
唯が幽霊だということは少し前に話した。
近々日本に来ると言い出した骸が
唯を探したいから住所が知りたいと言ったからだ。
流石の骸も幽霊だと聞いた時は驚いていたが、
唯は唯だからとすぐに受け入れてくれた。
骸の右目についても色々と聞いたからおあいこだ。
「クフフ…ありがとうございます。
唯は並盛にいるんでしたっけ？」
「うん♪現実じゃ見えないかもだけど、
私がむっくんを探して報告してあげるからね♪」
「大丈夫ですよ、絶対見えますから」
「もー、その自信はどこから来るのさ」
何回言っても“絶対見える”と言い張る骸。
ここまで繰り返されると本当に見える気がしてくる。
まぁ、実体化してしまえばいいのだが。
「僕が唯を探せないなんて有り得ないです。
だから、安心して待っててくださいね」
「ふふ…じゃあ、待ってるよ♪」
唯はクスクスと笑って立ち上がると、
作っていた花冠を骸の頭に乗せた。
きょとん、とする骸を見て笑みを深める。
「それ、貸してあげる。
現実で会ったときに返してよね♪」
「…クフ。分かりました、約束します」
「うんうん♪むっくんはいい子だね♪」
よしよし、と骸の頭を撫でる唯。
最初の内は嫌がっていた骸も
慣れてきたのか無抵抗で受け入れる。
それどころかどこか嬉しそうだ。
「じゃあ、私はそろそろ戻ろうかな。
あんまりお昼寝かてるとご主人が心配するよ」
「…そうですか。では、一旦さよならです。
また夜になったら会いにきてくださいね？」
「うん♪まったねー♪」
最後に、にこりと微笑みかけて
唯は精神世界から現実へと意識を戻した。
Next…
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６２：何でも屋日和『俺でも無理なもんは無理』→←６０：何でも屋日和『そんなこんなで清掃員と跳ね馬遭遇』
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作者名：黒猫＆死の猫又(黒雲嵐) x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2014年9月24日 0時
