第21話 ページ21
*
「七海さん」
「………。」
「降ろしてください、怪我に障ります…！」
あれから得体の知れない″何か″───彼曰く『呪霊』と呼ぶらしい───を消し去った七海さん。
そんな彼に帰りましょうと言われた次の瞬間、私は見るからに痛々しい傷の付いた腕に抱えられていて。
傷口から血が溢れ出ているのに、七海さんは全く気にも止めない。
暴れると余計彼の腕に響くことになるので、声だけで降ろしてくれと必死に訴え続けた。
けれど、彼は結局手当をしてもらいに来たはずなのに、家入さんという女医さんの前に来てまで私を降ろそうとしなかった。
「早く降ろして手当してもらってください！」
「家入さん、どうやら呪霊に足首を強く掴まれたようです、手当をお願いします。」
「ッ、七海さん…！」
明らかに怪我の具合が酷いのは七海さんの方なのに。
それなのに私は、流されるままに家入さんの手当を受ける羽目になった。
「愛されてんね、」
個室に通されて開口一番、家入さんに言われる。
いつもだったらそんな風に言って貰えることが嬉しくて堪らなかったと思う。
だけど、だけど今は違う。
「…私は、七海さんにもっと自分を大切にして欲しいです。」
俯いたまポツリと呟いた言葉は、磨り減ったパンプスの爪先へと落ちて行く。
しばらくの沈黙が、ただただ鉛のように重かった。
その沈黙を破ったのは、家入さんだった。
「怖かったか？」
「え…？」
「呪霊もそうだが、七海が、だ。」
────呪霊の返り血を浴びて闘うアイツを見てどう思った？
家入さんは私の目を見て、静かにそう聞く。
「…怖いだなんて思いません。
そんな事で私は、七海さんを嫌いになんかなりません。」
下を向いていた顔を上げて、はっきりと家入さんにそう告げる。
そこにあったのは、安心したように優しい顔。
「それなら大丈夫。
アイツは多分、君に嫌われたくなかったんだよ。」
その言葉に、胸がキュッと苦しくなった。
「君を守り、愛することがアイツにとっての生きる糧なんだ。」
ずっと堪えていた涙が、じわりと滲んでいく。
それは、どうしようもないくらいに大きな愛を、やっと受け止めきれた瞬間だった。
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (
レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました！笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか？(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます？) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……（震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます！何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(ﾄﾗｳﾏ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emi | 作成日時：2021年3月3日 6時
