第11話 ページ11
*
……やってしまった。
Aさんの元を去り、寝室へと入りドアを閉めた途端に両手で頭を抱えた。
あそこまで自分の欲を抑えきれないなど、本当に自分が不甲斐ない。
押さえつけた細い手首、柔らかな唇、真っ赤に染った頬。
全てが愛おしくて仕方が無かった。
あの状態で行為を中断できた私を、何なら褒めてあげたいくらいである。
「Aさん…」
同棲して、こんなに貴方への愛が増すなんて、想定外でしたよ。
「……どうしてくれるんです、本当に。」
そんな虚しい声が、電気も付けず真っ暗なままの寝室に消えていった。
***
翌朝。
昨夜、これでもかと酒を飲まされたのもあってか、意識していなくとも体は疲れていたらしく、目を開けると昨日の格好のままベッドへと横たわっていた。
薄地のカーテンに、ふわりと朝の陽の光が滲んでいる。
ふと横を見れば、彼女が寝ていたらしいシーツの皺が見えた。
途端に、昨夜の記憶が鮮明に思い出される。
その記憶に、私は再び頭を抱えた。
どんな顔をして話せばいいのだろうか。
いつも通りに話せるだろうか。
気まずくなったりしないだろうか。
そんな不安に頭を痛めていると、ふ、と何とも言えない良い香りが鼻腔を掠めた。
恐る恐る寝室のドアを開け、キッチンの方を眺めると、パタパタと忙しそうに料理を作るAさんの姿が見えた。
…愛らしい。
朝から目にしたその光景に胸を暖かくしたのも束の間、私の視線に気が付いたらしい彼女が、ふとこちらを振り向いた。
「あっ、七海さん、おはようございます！
朝ごはん今作ってるので、シャワー浴びて来ていいですよ！」
そこに居たのは、いつもと変わらない可愛らしい笑顔を浮かべた彼女で。
そんな彼女に、私の頭を悩ませていた不安は全て吹き飛んでしまう。
「承知しました。
今日は休日ですから、久しぶりにゆっくり過ごしましょうか。」
そんな私の言葉に、彼女は本当に嬉しそうな顔で頷くものだから。
「……幾ら心臓があっても足りませんよ、」
また独り言を呟きながら、誰も居ない脱衣所にて頭を抱えることになるのだった。
*****
どっちの視点で見ても『同棲してみたら想像と違った』というお話となっております。()
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森 - ↓なな…なんと… (2022年2月24日 23時) (
レス) id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 森さん» 森様、てぇてぇ頂きました！笑 お察しの通り最後のシーンはハロウィンの直前でございます…これからの二人のことはご想像にお任せ致します… (2022年2月21日 12時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
森 - てぇてぇな〜‼ ところで、これは2018年でしょうか？(ハロウィンもあっちゃったりしちゃいます？) (2022年2月19日 1時) (レス) @page3 id: d826e852a9 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - emiさん» ひぇ、、なんと……（震」 (2022年1月27日 18時) (レス) id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - たろ。さん» たろ。様、コメントありがとうございます！何だかんだ五条先生は後輩思いだよなという私の解釈を盛り込ませていただきました笑 実はこのお話の後、あのハロウィンが来てしまうのです……(ﾄﾗｳﾏ) (2022年1月27日 17時) (レス) id: 9ba5ed02ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emi | 作成日時：2021年3月3日 6時
