胡蝶の継子

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よんページ4

はっと目を覚ます。
目に入るのは見覚えのない天井。
(あれ、ここ……私どこで……)
思い出した。
私は鬼に両親を殺され、お姉さんと一緒に藤の花の紋の屋敷にきていたのだ、と。
自分の身体の右側に暖かさを感じ、ふと右を見る。
すると、すぐ前にはお姉さんの顔が━━。
「ふぇっ！？」
驚いて素っ頓狂な声をあげる。
その声で、お姉さんは起きてしまったようだった。
「うぅん……」と小さな声がする。
「おはようございます、Aさん」
「おおおはようございますっ。なんで、お姉さんはわわわ私の布団の中に？」
お姉さんも今気づいたようで、頬を紅く染める。
「違っ、これはっ、これはですね、そのっ、あの」
と早口に捲したてるお姉さん。
「ちょ、落ち着いて落ち着いて」
私がそういうと、お姉さんは一旦言葉を止め、数回深呼吸をした。
そしていった。
「これは、あなたが夜、魘されていたので、これで少しでもあなたが安心できるように、と考えての行動です。嫌でしたら、申し訳ございません」
全ては、私のことを思っての行動だったのだ。
そう考えると、嬉しくて涙が溢れてきた。
止めたいと思っても、とめどなく溢れ出す涙。
気づけば、声をだして泣いていた。
「うわぁあぁああん！お姉ざんっ、ﾋｸｯ、あり、ありがどうぅ」
こうして何分も泣いていた。
お父さんとお母さんは優しかったはずなのに、優しくしてもらった記憶がない。
ずっと一人だったような気さえする。
お姉さんは、私が泣いているあいだ、ずっと背中をさすってそばにいてくれた。