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とてつもなく長く感じた移動が終わり、漸く宿舎へ到着した。

社員さんに荷物を下ろしてもらいながら、僕は喉から飛び出そうな程バクバクと大きな音を立てる心臓を落ち着かせようと深呼吸する。

「Aくん、緊張しているの?」

そんな僕の様子を面白そうに笑いながら眺める社員さん。

「いや、一度顔を合わせているとは言え緊張しますよ…!これから一緒に過ごすんだし……。」

前、メンバーに自己紹介した時のことを思い出す。
仲良くしてくれるとは思う。でも、上手くいかなかったらどうしよう。
僕は本当はあの中に居てはいけない存在だから…。

不安な気持ちが大きいのか荷物の整理中は何度も逃げ出したくなった。

「さて、Aくん行こうか。準備はいいかい?」

「はい!」

緊張を吐き出すように全ての息を吐く。
そのままたくさん酸素を取り込む。

よし、大丈夫。

社員さんが宿舎のインターホンを押す。

「はい?」

「お、ちゃんと起きてるな。新しい練習生を連れてきたから玄関まで迎えに来てくれないか?」

この声は誰だろう。機械に阻まれてあまり分からなかった。

ドタドタと少し騒がしい音ともに玄関の扉が開く。

「あ!ようやく来たんだ、待ってたよ!」

元気な声と共に現れたジニヒョン。
彼の後ろにはホソギヒョンとジミニヒョンが見える。

「えっと、これからお世話になります!」

深くお辞儀をしてから自身の荷物を持ち直す。
そんな僕を横目で見ながら社員さんはジニヒョンとその後ろにいるメンバーに説明をする。

「顔は合わせてるだろうけど、あとでもう1回自己紹介のようなものはするようにな。明後日の午後には業者に頼んだAくんの荷物は届くはずだ。
じゃあ、よろしくな。仲良くするように。」

うんうん、と頷きながら真剣に聞く3人。
一通り説明を終えた社員さんは僕の肩を一度ぽんと叩き車に戻っていく。

「あ、ありがとうございました!」

社員さんに向かって一度頭を下げる。
それに手を上げて反応した社員さんは車を発進させ会社へ戻っていった。

「よし、じゃあそろそろ中に入ろうか。」

さりげなく荷物を持ってくれるホソギヒョンとジミニヒョン。
なるほど。これが紳士か。

そのまま僕はジニヒョンに手を引かれ宿舎の中へ入っていった。

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作者名:ヒョナ | 作成日時:2022年9月13日 2時

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