我妻善逸、ヨコハマに来た【鬼滅の刃】【文豪ストレイドッグス】

問３６:大切な兄？ ページ35

【？side】

家に帰ると兄が居た。いや、これは昔から当たり前だ。



「何処に行ってた」


冷たい兄の声。昔はこうじゃなかったのに。無性に悲しくなった。涙が出そうになった。けれど、私に泣く資格なんて無い。だって兄をこんなにしたのは私だから――。


「…月を見ていたのです」


月を見ていたなんて本当は嘘。兄に嘘を着つくのは嫌だったけれど、ごめんなさい。全てを終わらせる為なの。

兄はチッと舌打ちを一つすると私を見なくなった。兄は立ち上がって何処かへと行こうとする。私は慌てて引き止めた。


「兄様！！ 何処へ行くのですか？」
「血を与えに巣窟へと行くのだ」


貴様には関係ないだろう、兄の目がそう言っていた。関係ない訳が無い。だって私と兄様は唯一無二の兄妹でしょう？


「兄様！ 行ってはなりません！！ これ以上、血を与えたら、兄様は――」
「黙れ黙れ黙れッ！！ 一々五月蠅い！！ 嗚呼、五月蠅い！！ どいつもこいつも、五月蠅いッ！！ 楽になりたいんだ、楽になる為には、こう、こうするしか――」


そう兄は叫んで私の頭を潰し、鬼の巣窟へと行ってしまった。シューと音をたてながら治っていく私の頭。

大丈夫です、兄様。もうすぐ、もうすぐ全て終わります。楽になりますから――。

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