海の見える丘 ページ23
海の見える丘。そこは前、
今は無い。勿論理由は未だ織田作が生きているからである。そんな丘に、後一歩踏み出せば海に落ちるような場所に座り込んで居たのは太宰無月。
笑っていて恐怖など微塵も見せなかった。実際、無月は怖くは無いのだろう。自 殺を軽々とやってのける男だ。まあ、実際に死ねた事など
「無月さん」
そこに一人、現れた。治だ。無月は振り返らず「何?」と返した。ここ最近ようやくちゃんとした返事が聞けたような気がする、治はそう思った。
「何してるの、そこで。落ちたら本当に死んじゃうよ」
「だからここに居るんだよ。もう私は長くないからね」
治は黙った。無月も黙った。
しかし、その沈黙は長く続かなかった。
「私に何か聞きたいことがあるからここに来たんじゃあ無いのかい?」
「…判る?」
「そりゃあね。なん年共に過ごしてきたと思ってるのさ」
無月は見上げた。青い空が広がっている。綺麗だと思った。太陽の光が眩しくて思わず目を細めてしまう。
「ほら、疾く云わないと手遅れになっちゃうよ」
無月は治を急かす。治は両手をギュッと握って無月に問うた。
「ねぇ、何で無月さんは一度も僕の名前を
無月はニヤリと笑った。
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