逝った後の行先 ページ2
躰が重くて瞼を開けることも出来ない。そして謎の浮遊感。嗚呼、漸く私は死ねたのだね、心の中では歓喜に溢れていた。
彼が居る場所に私も行けるだろうか?一人は寂しい。彼が居るなら私はそれだけで――――。
謎の浮遊感が無くなり何故か躰が軽くなった。少し疑問に思う。先程迄重くて開けられなかった瞼が今では開くようになる。更に疑問だ。私はあの時絶対に、確実に死んだ筈だ。ならば何故?
目を開けてみないことには判らない。渋々、厭厭乍も私は目を開けた。目を開けると同時に鼻も効くようになった。
視界は黒くて何も見えない。臭いはホコリ臭くて思わず顔を歪めてしまう程。辺りを見渡すが当然何も見えない。しかし此処は如何やら部屋のようだ。例えるならそう暫く開けられていない倉庫のような。
私は溜息をつく。死んだ行先がこんなホコリ臭い処なんて思ってもみなかった。てっきり私はもう少し真面な場所に行けると思っていた。
否、私の行いからすると此処は当然……なのかもしれない。多分。
不意にガシャンと大きな物音がする。そしてキイと大きな物音と共にこの部屋の扉が開かれた。
「此処に居たか」
きっと私に云った声なのだろう。其の声は私にしてみれば迚聞き慣れた声で目を見開いて仕舞う。
「お、織田作……」
死んだ筈の織田作之助が私の目の前に立っていた。
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wayu0112(プロフ) - こういう話好きです! (2019年11月8日 0時) (レス) id: 3e063600b4 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - とても面白かったです。更新楽しみにしています!! (2019年7月13日 22時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)
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