○月●日 ページ6
【○月●日】
不死川さんが帰ってくるのはいつかな、なんて朝方考えながらいつ帰ってきてもいいように風呂を沸かし、食事を作っていた時、不死川さんが帰ってきた。
そんな不死川さんは血だらけで、思わず叫んでしまったのは記憶にこびり付いている。顔を真っ青にして叫んだ私を見て不死川さんは焦ったような顔をした後「こっち見んな!」と言った。
これは不死川さんなりの不器用な優しさで、血に慣れてない私を追い払おうとしてくれたんだろう。こんな言い方だけど私を気遣ってくれている。
思わず笑みが出てしまいそうになったけど、不死川さんの傷を見て気を引き締めた。
「不死川さん、取り敢えず応急処置でもしておきましょう」
嫌がる不死川さんを無理やり引き摺って部屋に連れていく。元々、応急処置の仕方は父に教わっていた。もし怪我している子がいたらお前が助けるんだ、と。
今になっては医療の勉強もし始めているし、昔よりも知識は豊富だ。包帯やガーゼを取り出して不死川さんの血を吸わせていく。
「…この怪我、自傷ですか?」
「………」
不死川さんは何も言わなかった。それは私に心配させまいとしているのか、それともただ単に言いたくないだけなのか。
「…なんでてめぇにンな事言わなくちゃならねェ」
ああ、踏み込み過ぎてしまったかもしれない、なんて思ってみちゃったりして。心臓が痛いような気がする。可笑しいな、怪我しているのは不死川さんの筈なのになんで私が痛がってるんだろう。
「あくまで応急処置です。ちゃんと医者に見せてくださいね」
応急処置が終わった後、不死川さんにそう告げれば不死川さんはそっぽを向いて返事をしない。私は不死川さんの顔を無理やりつかんで私の方をむかせると「約束ですよ」と強引に約束させた。
不死川さん、今日はお風呂入れそうにないな。
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