太宰が拾った少女【文豪ストレイドッグス】

違う人間の日常 ページ13

僕にとっては大切な先輩だった。別に恋愛感情があった訳では無い。唯、先輩は僕の恩人だったのだ。

此処に来て間も無い頃。仕事を教えてくれたのは先輩だった。先輩は立派なエージェントで自分の仕事も沢山あっただろうに僕にも構ってくれた。

そんな先輩が在る日を境に消えた。

ずっとずっと探して居るのに見つからない。思わず僕は溜息を着いてしまう。


「はあ」
「大丈夫ですか、先輩」


僕の机にコトリとマグカップが置かれる。置いたのは後輩で中には珈琲が入っていた。


「そろそろ休んだ方がいいですよ。此処の所残業続きで先輩碌に休めて無いでしょ」
「ですが…」
「俺としちゃあ人探す前に此の仕事に革命起こす方が先だと思うんですよねえ。働き方改革みたいな感じで」


後輩の話を凡て聞く前に瞼が段々重くなっていく。其れ程迄に僕は疲れていた。


「あれま、寝ちゃってる」


仕方ないなあと男の後輩は手に持っていたマグカップを机の上に置くと男を引き摺り乍ソファーへ連れて行く。


「うし、これでよし」


後輩は男をソファーに置くとそう呟いた。


「暫く寝てて下さい。安吾先輩は働き方過ぎなんですよ」


後輩は苦笑いでそう云うと「本当に働き方改革やろうかなー」と云い乍部屋を出ていった。


「もう然して俺、英雄に成れちゃう？」

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