35-卒業- ページ35
式典も教室での挨拶も担任からの言葉も全て終わって、
私は1人喧騒から離れるように音楽室に向かった。
ここでいろんなことがあったから。
結局、1年の時からの雰囲気というか感覚というか。
最初に友だちがいたわけじゃないから、今も1人でこうできる。
あの時から考えると驚くくらい自分なりには変われたと思う。
この場所で、沢山の思い出が出来て、ドキドキもして。
恋も知った。
最後に、この教室とピアノにお礼と感謝の意味も込めて…
♪頑張るから だから昨日に手を振って…
ここで最後の弾き語り。
大好きとありがとうを込めた歌。
『…はぁ』
と一息ついた時、
入り口に人の気配を感じるから視線を鍵盤からあげる。
『…亮』
錦「ここに居る気がして」
『うん…』
沈黙が広がるからグラウンドで別れを惜しむクラスメイトたちの声が響いてくる。
錦「あのさ」
歯切れの悪い連体詞。
私が言い出せなかったことを、
今から亮が言おうとしているのは空気でわかる。
わかるけれど、私から言わないのは亮への甘えと、
そしてこれ以上傷つけたくなかったから。
錦「4月になったらバラバラになるやろ？」
『…うん』
錦「俺も一人暮らしになるわけやし…Aは家からやろ？」
『うん』
錦「遠距離になるやんか…」
『…』
錦「すぐ会われへん距離は辛いやんか？
せやから…別れようか」
この台詞を言わせたことが間違っていたのかどうかはわからない。
辛そうな顔が目に入ったから。
だけど、これを私が言ったら、もっと亮を傷つけたことは明瞭だ。
遠距離になるからっていうのは体のいい言い訳。
そこまで離れた距離にはならないのに、
物理的な距離を理由にしたのは、
私の気持ちが見えてしまっていたから。
『…うん…』
私の返事を聞く間に、亮が背中を向けるから、
『り、亮…。いままでありがとう』
返事は聞こえなかったし、亮が振り返ることもなかったけれど、
片手だけが上がって、その姿が小さくなるまで見送った。
『…ごめんね…』
私は亮に何をしてあげられたのだろうか。
こんなにそばに居てくれて、ドキドキもたくさんしたのに、
こんな終わり方にしてしまって謝っても謝り切れない気持ちでいっぱいになる。
それでも、こういう恋を教えてくれたのは紛れもなく亮だから、
もう一度、
『亮…本当にありがとう』
届かないありがとうを口にした。
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華絢(プロフ) - 蒼乃碧さん» どうなりますかねぇ(ﾉω｀*)んふふ♪ もう、なるように…的な(´･ω･｀) (2018年4月1日 21時) (
レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - くはぁ、せつない…(´；ω；`)これからどうなるのかな…。 (2018年4月1日 6時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
華絢(プロフ) - ひみささん» ひみささん、いつもありがとうございます(〃ω〃) 珍しく学生設定にしてみましたー♪ お付き合い頂けたら嬉しいです(〃ω〃) (2018年3月22日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開ありがとうございます(*^^*) 高校生なんですね〜、黄色もあるんですね〜、色々楽しみです♪ (2018年3月22日 14時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華絢
| 作成日時：2018年3月22日 13時
