23-恋と雨の歌- ページ23
あの日、あのライブでカバーしていた曲。
知っている曲だったから、帰りに楽器屋さんに寄ってピアノソロ用にアレンジされた譜面を買ってきた曲。
少しだけ途中にアレンジを加えて弾いていると、途中から章大くんの声が…乗った。
恋の音と雨の空の歌。
自分の心の中みたいな歌に惹かれて弾き始めたのに、
こんなに近くに章大くんが居て、そして歌っている…。
…楽しい…。
そう思いながら弾き終わった時に、ピアノに両肘ついてた章大くんと目が合った。
思わず微笑んでしまったのは楽しかったから。
それに章大くんも笑ってくれたから。
安「…ほんまに…」
ふいっと顔を背けるから、その後何を言ったのかは聞こえなかった。
『ん…?』
安「んー?なんでもない。あのさ」
頭を掻きながら、照れた顔をしたのは、なんでもないという言葉に隠された意味?
安「また明日も来る?」
『明日…も、来る予定…』
安「…俺も来てええ?」
『えっ…?』
安「あ、迷惑やんなぁ、急に。
気にせんといて」
迷惑なわけないし。
さっき弾いた…章大くんが歌っていた曲がそのままの私の気持ちなのに。
安「邪魔してごめんな」
と帰ろうとする後ろ姿に、
『待って…』
そう言えたのは、少しだけ勇気が溢れたから。
振り向かず、立ち止まったままの背中に向かい勢いだけで、
『明日…待ってるから』
少し振り返った横顔が一瞬驚いていたけれど、すぐに口角がキュッと上がるのが見える。
章大くんは何も言わずに廊下に出てしまったけれど、
翌日。
私よりも早く、ギターケースを抱えた章大くんが音楽室に居た。
安「あ、来た」
ニヒヒっと今日は悪戯っぽく笑ったと思ったら、
安「ギター持ってきてもうた」
最後の言葉はギターの音が被さった。
安「セッションとかは?」
鞄を置いてピアノの前に移動した私に問いかけてくるのはそんなこと。
『…ない。いつもひとりで弾いてるから…』
なんでもっと可愛く言えないんだろう。
前に見た、章大くんを囲んで居た女子たちみたいに可愛く言えたらいいのに。
頭の中ではそういう自分がいるはずなのに、現実になると別物で、
こんな風に突き放したような可愛くない私が顔を出す。
安「そうなんやねぇ。やったら…これ弾ける?」
私が座った背もたれのないピアノ椅子の隙間に背中合わせで座って、
最近流行りの歌を弾きながら歌い出す。
よく聴く歌だからなんとなくは知ってる。
それよりも…。
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華絢(プロフ) - 蒼乃碧さん» どうなりますかねぇ(ノω`*)んふふ♪ もう、なるように…的な(´・ω・`) (2018年4月1日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - くはぁ、せつない…(´;ω;`)これからどうなるのかな…。 (2018年4月1日 6時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
華絢(プロフ) - ひみささん» ひみささん、いつもありがとうございます(〃ω〃) 珍しく学生設定にしてみましたー♪ お付き合い頂けたら嬉しいです(〃ω〃) (2018年3月22日 21時) (レス) id: 479a0f7ed2 (このIDを非表示/違反報告)
ひみさ(プロフ) - 新作公開ありがとうございます(*^^*) 高校生なんですね〜、黄色もあるんですね〜、色々楽しみです♪ (2018年3月22日 14時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華絢 | 作成日時:2018年3月22日 13時