【ＣｌｏｖｅＲ】橙 (ページ35)

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33杯目。ページ35

店について扉を開ける。

錦「いらっしゃいませー」

営業スマイルの亮ちゃんが出迎えて来れて、

後ろからヤスもぴょこっと顔を出す。

安「あ、マルや！」

むふふってこの2人も顔見合わせて笑っとって、

今日はほんまになんやの？と思っとると、

テーブルのある方からの声が耳に届く。

『…！これ、美味しいー♡』

ドクンと心臓が大きく動く。

これって、この声って…。

早く中に入って確認したいんやけど、

そんな気持ちを悟られたくなくて

気付いていないふりをする。

こんな時に限って、

入り口で村上くんが亮ちゃんに絡んどって、

全然案内してくれへん。

案内してもらわな、

どのテーブル使ってええのかわからへんやん？

渋「お、大倉やん」

あ、ハウスの人や。

ということは、やっぱり居るんやね？

大「あ、すばるくんー！

聞きたいことあんねん、あとで教えてー」

って、ゲームの話でわからんことあるからって言ってはる。

「ヤスー、早よ案内してほしいわぁ」

思わず、本心が口から漏れる。

安「マルがなんや珍しいなぁ♪」

って、なんやわからんけど嬉しそうに、

むふふって笑いながら、

安「こっちやでー」

って店員らしくない案内をはじめる。

視線だけで店内を見ると、

あ、やっぱり、居った…。

どれだけ会いたい思ったんやっけ？

声を聞きたいって思ったんやっけ？

ふわふわした姿を見たいって思ったんやっけ？

あんだけ、焦がれてた時間が、

一目見ただけでハチミツみたいに溶けてった。