33 ｰabｻｲﾄﾞｰ ページ33
気がつけば照の腕の中にいた。
今日はぐっと堪えて突き飛ばさずにいられた。
バクバクしている心臓を必死に抑える。
他人の温もり。
耳元の息遣い。
逞しい腕が、まだ少し怖い。
プレゼント。
サプライズにしようと思って黙ってたけど、そんなに嬉しかったのかな。
考えているとハッと気付いたように腕の力が緩まって、その温もりから離れる。
周りの目が少し痛い。
それもそうだ。
男子高校生が急に抱き合い始めたら誰だって気になるだろう。
｢ごめん……っ｣
｢ううん。そんなに嬉しかった？｣
なんだか子供みたいに表情がころころ変わる照に、優しく笑いかけながら聞く。
すると慌てたように首を縦に振った。
｢なんかこっちまで嬉しくなっちゃうなぁ｣
言いながら乱れた横の髪を耳に掛けると、電車が来るアナウンスが聞こえた。
2人して立ち上がり、丸いマークの前に立つ。
横にいる照はさっきとは違って何処か落ち着かない様子で、不思議に思いながら見ていると合った目が外された。
そんな照は見慣れなくてからかいたい気持ちはあったけど、もっと挙動不審になってもらっても困るのでやめておこう。
ちょっと驚かせすぎたかな。
電車に揺られる間は、特に会話もない。
これは普段一緒にいる時も変わらない。
でも居心地がいいのは照だからなのだろう。
俺の降りる駅がきて、立ち上がる。
｢誕プレ、ありがとな｣
｢どういたしまして｣
｢じゃまた明日｣
ドアが閉まりそうになって慌てて電車を降りる。
姿が見えなくなるまで手を振ると、明日は学校がないことに気がついて、スマホを取り出しスタンプで終わっていた画面を開く。
阿部 亮平明日学校ないよ
ｼｭﾎﾟｯという音と共に、新たなメッセージが加わった。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
