27 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ27
今日は2日ぶりに体育がある。
あの日から俺は阿部に触れたりはせずに、普通の友達同士の距離を保つことを意識していた。
阿部はいつもの通り800mのスタート位置へ向かい、俺はそれを見届けながら自分の場所へ。
俺が駆け抜けた100mの後、前と同じように追い抜いた阿部を盗み見る。
ほぼ同じなのだが、前とは違う何かを感じる。
……表情だ。
前はもう少し余裕があった。
俺の横を通る時だけ見栄を張るようにキリッとしたり。
でも今の阿部はどこか余裕がなさそう。
前々から心配していたが、やはり阿部に800mはキツいのではないか。
競走だからか、自分のペースで走るわけでもなく皆急いで駆け抜ける。
阿部も同じだ。
俺の心配は的中したようで、600mに入り残り一周を切ったかと思えば、阿部の足がもつれる。
見つめていた俺の目線の先で、阿部の体がぐらついた。
俺は駆け出していた。
阿部はそのまま力なく倒れて、皆も駆け寄ってくる。
｢おい、阿部！｣
阿部からはちゃんと返事があり、小さな弱々しい声でごめんと呟く。
熱中症かな、と体育の教師が俺の横に座り込んだ。
とりあえず2人で阿部を木陰まで運び、慎太郎が持ってきてくれた濡れたタオルや氷のうを当てた。
脇の下を冷やそうと腕を上げさせた時、ちらりと見えた毛に何故か背徳感を覚えた。
男なんだから当然だよな。
そう言い聞かせ、俺は顔色が戻ってきた阿部を抱え保健室へ連れていく。
俺が行くと言うと、体育の先生は授業へ戻ったみたいだ。
｢先生、熱中症みたいです｣
グラウンド側から保健室に繋がるドアを開け、俺はそこにいた先生に声をかける。
椅子から立ち上がり俺たちの方へ近付いてくるのは、白衣を着た保健室の�眞論萓検�
俺が抱えていた阿部を手際よくベッドへと移し、ボーッとそれを見ていた俺に声をかける。
｢脚の付け根も冷やした方がいいから当ててやって｣
それだけ言って俺に氷のうを渡し、本人はやる事がある、と再び机に向かった。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
