26 ｰiwｻｲﾄﾞｰ ページ26
体育の後、阿部とは気まずいまま。
帰りまで1回も話せなくて、俺は胸が張り裂けるような思いに駆られていた。
せっかく仲良くなったと思っていたのに。
俺が軽率に腰なんか触ろうとして嫌われた。
阿部と話せない、阿部に無視されるのがこんなにも辛いなんて思わなかった。
人当たりのいい子だからなおさらかもしれない。
いつもだったら真っ先に阿部に声をかける移動教室。
今日は慎太郎と一緒に移動した。
様子がおかしい俺たちを慎太郎は気にかけてくれた。
でも今はその気遣いも少し痛い。
俺のせいでこうなってしまったんだから、慰められる権利なんてない。
放課後は部活があった。
その時間だけは、阿部とのいざこざを忘れて集中していた。
でも基礎や反復練習の時、ふと思い出してまた胸がズキンと痛む。
申し訳ないことしたな……なんて1人で反省会。
部活が終わってから着替え終わるまでには、明日阿部に謝る方法が考え終わりそうだった。
そう考えながら何気なく目に入ったスマホには新着メッセージが何件か入っていた。
1つは紛れもなく阿部からだった。
俺はさっきまで考えていた明日謝る内容も全部忘れて、急いでメッセージを確認した。
阿部 亮平今日はごめん。手大丈夫だった……?急でビックリしちゃっただけだから気にしないで。俺、照といると楽しいから、これからも仲良くさせてほしいです。
良かった……
一気に胸の中のもやもやが晴れ、安堵のため息がつい漏れ出てしまう。
でも、俺も謝らないと。
俺はスマホを持ち直して返信の文を考える。
俺にも悪い所はあったから素直にその気持ちを書く。
照俺の方こそ驚かせてごめん。俺も阿部と話すの楽しいよ。俺で良かったらまた仲良くしてください!
送信のボタンを押し、そのままポケットに入れ更衣室を出る。
後ろから追いかけてきた慎太郎と樹は俺の肩を組む。
｢なんか嬉しそうじゃない？｣
｢なになに、なんかあった？彼女でも出来た？｣
ニヤニヤしながら聞く2人を見て、ちげーよ、と腕を外す。
先輩方に挨拶をし、3人で駅に向かって歩き出す。
飽きるのが早い2人はその頃にはもう別の話に夢中になっていた。
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桜井サラ(プロフ) - ゆのんさん» コメントありがとうございます！励みになります…更新頑張ります！！ (2020年5月12日 8時) (
レス) id: aa947d258f (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん - 凄く面白いです。更新楽しみにしています。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: fc4b9231a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜井サラ | 作成日時：2020年4月25日 8時
