六夜目*他人*作者の体験談 ページ6
少女は、そうっと、挨拶を交わした。
麻里奈「行ってきま〜す!」
小学6年生の少女、浅田麻里奈は、そう大声を出しながら紫色のランドセルを揺らし、階段を駆け降りた。このままだと学校に遅刻してしまう。
タタタッと光の速さで玄関まで走り抜け、床に座り靴紐を結ぶ。すると、視界の端で、ゆらりと、黒い何かが揺らめいた。麻里奈は不思議に思い顔を上げる。すると、そこには見たこともない黒髪の女の人が立っていた。
けれど麻里奈は怖がることもなくその人の横を走り抜け、扉を開けた。何故怖がりもせずに横を駆け抜けられたのかというと、それは麻里奈の経験に関係しているからである。
麻里奈達家族は昔から見えていた。部屋の中には最近亡くなった祖父もいるし、旅行先の旅館などでは角に立っている髪の短い女の人、カーブミラーに移る明らかにコチラ側の人間ではない何か。そんなものばかり見えているからである。
まぁ、知らない人が玄関に立つなど初めての経験ではあるが。
そんなこんなで、麻里奈はそれから1週間、その幽霊とすれ違うことになる。けれど麻里奈は、何だかその幽霊に異変を感じ始めていた。
位置が擦れて来ているのだ。最初は靴箱の近くだったのが、段々と自分の足元の方へ。顔は俯いたままなので見えないが、何かを伝え様としているのではないか。
そう考えた矢先、麻里奈は首を傾げた。そういえば、何故この女の人は家に来たのだろうか。
そう思い、麻里奈は他の家族にも聞いてみた。けれど、どうやら、麻里奈以外にはこの女の人は見えていないらしい。だったら、この人は私の為に家に来たのだろうか。でも、やっぱり理由は分からない。
そう疑問に思い始めて早1ヶ月。麻里奈ももう若干慣れ始めており、一度その女の人に礼までしたことがある。まぁ、言葉を交わすことは流石に麻里奈もしなかったが。
そしてとある日、麻里奈が学校から帰って来た時、その女は麻里奈に手を伸ばして不気味な声を出し、耳元で囁いたのだ。
女「おかえり、麻里奈ちゃん」
...全てが、分かった様な気がした。
七夜目*存在*雪の王子様の体験談→←五夜目*モノ*作者の体験談
46人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おかき(プロフ) - ありがとうございます、楽しみに待っております! (1月31日 20時) (レス) id: a1b6676078 (このIDを非表示/違反報告)
綾瀬凛利(プロフ) - おかきさん» コメントありがとうございます!正直もう見てる人いないと思っていたので嬉しい……ぜひ書かせていただきますね!ありがとうございました! (1月31日 18時) (レス) id: c6784028ea (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 作者様の求めている話ではなかったかもしれませんが人怖でした。 (1月30日 18時) (レス) id: a1b6676078 (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - 今度は私と母しかいなかったのでめっちゃ怖かったです、また向かいのおじさんが連れて行ってくれました。おじいさんは○すぞやお前ら俺の人生奪って楽しいかとか言ってました。この話は未だに怖いです。 (1月30日 18時) (レス) id: a1b6676078 (このIDを非表示/違反報告)
おかき(プロフ) - けど、おじいさんはボケてるのかここは俺の家や!ってずっと言ってました。結局向かいのおじさんがおじいさんを連れて行ってくれました、分かってくれたかなっと思いましたがその人はまた来ました (1月30日 18時) (レス) id: a1b6676078 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:綾瀬凛利 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/967fcd0b72/
作成日時:2020年8月27日 22時