思い出は心のアルバムに。 ページ39
貴方side
「まるで新婚さんのようだぜ」
「これはカメラに抑えないとなぁだぜ」
買い物から帰宅した私達はそのまま調理に向かった。
本当ならば私と雫がやらなければいけない。
「僕、お鍋用意しますね」
だが「これを機に、私も仕事見つけよう!」とはりきっていたので、雫はそっとしておくことにした。
『お願いします』
私は黙々とキャベツと一緒に煮込む人参やらを切る。
後ろで
その言葉に頬が照る。
「新婚さん…新婚さん…」
鍋を出して、いつの間にか肉にキャベツを巻いているるぅとさんが呪文のように唱えていた。
『るぅとさん?』
心配になったので声をかけてみる。
「は↑いっ!」
驚いたのか、声が裏返ってしまったようだ。
そんなるぅとさんが可笑しくて悪戯をしてみたくなってしまった。
『るぅとさーん』
「な、なんですか?」
急に声色を変えた私を怪しんでいるのか、後退りをする。
ニヤッと笑って一言。
『私達、新婚さんみたいですね』
それを聞いた彼は真っ赤に染まった。
「ななななっ、何を言ってるんですかっ!」
照れ隠しをする。
言った本人である私も、実は少しだけ恥ずかしかったのは秘密だ。
「今日の夜ご飯は…」
ななもりさんがキッチンカウンターからひょこりと頭とマイク代わりであろう、テレビのリモコンを覗かせる。
「ズバリ!?」
『………は?』
ばっと、急いで口に手を持っていき塞ぐ。
どう反応すればいいのか分からなくて失礼なことを口走ってしまった。
『す、すいません』
「”すい”じゃなくて”すみ”!
す み ま せ ん !」
頬を膨らます莉犬さん。
『すみません』
「よくできました」
そう言って自分より高いはずの頭を柔らかい手つきで撫でる。
「よしよし」
声色
表情
手つき
それらはまるで赤子に話しかけるような。
柔らかなものだった。
「よしよし」
調理をしていたはずのるぅとさんも、私の頭を優しく撫でる。
『私、子供じゃないですよ』
さーっと、一筋の涙が頬を伝う。
右目からの涙。
意味は
嬉し涙
何故流したのかは、何故流れたのかは私には理解ができない。
だけど滝のように溢れ出す涙には終わりが見当たらない。
「なんで泣いてるんですか」
嗚呼。
「さっき泣いたばっかなのに」
愛しい人よ。
「いい加減泣き止んでくださいよ」
私に愛を。
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雨んぼ(プロフ) - 泣いちゃいました(笑)なんか、少し私と重なって、より一層泣きましたwwすっごく良かったです!これからも頑張ってください! (2022年5月11日 22時) (レス) @page48 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
葵音 - 泣いてしまいまいた。すご良くて、びっくりしてしまいました! (2022年1月26日 17時) (レス) @page43 id: c9207ab068 (このIDを非表示/違反報告)
元気に生きていたい! - はい!泣きましたァァ!!すごく良かったです!!!!! (2021年8月21日 18時) (レス) id: 0301fd6d5d (このIDを非表示/違反報告)
アネモナ - 涙がでできました!私はマスク外したくないから外せって言われるの大嫌いですね (2020年5月24日 0時) (レス) id: 8d7833d063 (このIDを非表示/違反報告)
miko - なんか、本屋に売ってあるようなクオリティーでとても好きな作品です!凄く面白かったです! (2020年5月12日 0時) (レス) id: 6feb6d5170 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あはぴー x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=2bf929b5ed877904e3eb7e3aafbf136b...
作成日時:2019年4月4日 15時