二人きりは気まずいって。 ページ35
るぅとside
若干無理やりではあるが二人きりになった。
が、どうしよう。
早速ピンチだ。
「………」
『………』
お互いそっぽを向いて話し出す様子はない。
ニャーン
「あ、ねこ…」
『あ、ホントだ』
「………」
『………』
気 ま ず い 。
待って待って待って。
こんなに気まずいものだった!?
買い物ってこんなに気まずい!?
話すことない!?
Why!?(脳内荒ぶり中)
『夕飯、何にします…?』
この沈黙を破ったのはAさん。
な、ないす…。
「ろ、ロールキャベツがいいです…」
『ステーキ買うお金ありませんしね。
そうしましょう。
カレーや、シチューはいつでも作れます。
そうとなれば、キャベツを買わなければ!』
「さ、行きますよ」なんて言って生き生きと僕の前を行く。
そんな彼女の首には誕生日に贈ったネックレスがちらり。
少し嬉しくなったのは内緒だ。
『えーと、キャベツにお肉に…』
スーパーに着くとカートとカゴをセットで持って進ませる。
周りから見ると若夫婦に…なんて我ながらに気持ち悪いことを思い浮かべる。
『あ!』
Aさんがらしくない声を上げる。
「どうしました?」
そう問うと、まるで地獄に落ちたような面相をしてこちらを見てきた。
一体どうしたんだ。
『おっ、お財布、忘れました…』
がくり、という効果音が今にでも付き出しそうな姿にくすり。
そんな彼女を傍らに「テッテレーン さいふぅぅううう」と言いながらポケットから財布を取り出す。
「そんなこともあろうかと持ってきました!」
『すみません…私としたことが』
あからさまに落ち込むAさん。
そんなに気にすることじゃないと思う。
「僕が払っときますから先に外にいてください」
落ち込む彼女を促す。
とぼとぼとスーパーから出ていく小さな背中はとても愛らしかった。
「1520円です」
比較的安いスーパーだったので量があってもお安いのでお財布に優しい。
ふと、時間が気になって店内の時計を探す。
が、見当たらなかったのでスマホでチェック。
今は便利な時代だよね。なんて思いながら。
「5時10分か」
夏ならばまだ太陽が照っていたのだが、冬となると日が沈む時刻は早い。
出るとAさんを取り囲む背の高い女の子達がいた。
これはもしや…と思い近づく。
「ちょっとお姉さん。
私のカット相手になってくれない?
お姉さんだとやりがいありそうだし」
「私には服を」
「あたしにはネイルをさせて」
な、ナンパ…なのか?
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雨んぼ(プロフ) - 泣いちゃいました(笑)なんか、少し私と重なって、より一層泣きましたwwすっごく良かったです!これからも頑張ってください! (2022年5月11日 22時) (レス) @page48 id: 5fc4c4d6bd (このIDを非表示/違反報告)
葵音 - 泣いてしまいまいた。すご良くて、びっくりしてしまいました! (2022年1月26日 17時) (レス) @page43 id: c9207ab068 (このIDを非表示/違反報告)
元気に生きていたい! - はい!泣きましたァァ!!すごく良かったです!!!!! (2021年8月21日 18時) (レス) id: 0301fd6d5d (このIDを非表示/違反報告)
アネモナ - 涙がでできました!私はマスク外したくないから外せって言われるの大嫌いですね (2020年5月24日 0時) (レス) id: 8d7833d063 (このIDを非表示/違反報告)
miko - なんか、本屋に売ってあるようなクオリティーでとても好きな作品です!凄く面白かったです! (2020年5月12日 0時) (レス) id: 6feb6d5170 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あはぴー x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=2bf929b5ed877904e3eb7e3aafbf136b...
作成日時:2019年4月4日 15時