ポートマフィアのメイドさん

とある日２ ページ8

「お前………本当になんでもできんだな。」
「ナインは失礼。オムライス………相変わらずのお子様舌…」
「うっせ！」

ナインとは孤児院からの付き合いで腐れ縁だ。ポートマフィア傘下の店で武器の売買を行なっている。
ヨコハマでは武器の売買をポートマフィアが独占しており、密輸なんてしたら逆鱗に触れるだろう。
私と同い年の彼は異能持ちだ。“ホークアイ”、主にサポートを担う中距離から遠距離型の異能力で半径10メートル以内の自分以外の人間の位置を把握できるというもの。性能もそこそこで相手の強さでなんかも分かるそうだ。それに加えて、ナインは狙撃の達人。
天賦の際に加えて型にハマるように与えられた能力。
特攻は私が担って、私たちが組む時は負け無しだった。

「お前さ、もし闇に復帰するならさっさと幹部にでもなってこの店宣伝しろよ。」
「誰が広告塔になるか……私は首領のボディガード兼、メイドを続けるだろうさ。私の分ボディガード役が減るだけだ。」
「へぇ、今のボディガードってのは誰なんだよ。」
「………………私の成功型のような人だ。わたしは、実験が成功したら彼になっていたのかもしれない。彼は幹部だ。」

空気が変わった。あたりが張り詰め、ナインの顔も真剣なものに変わった。何かを思い詰めるような顔つきだ。しかし、その空気をすぐに溶けて、悪いなと一言。

「お前、最近異能はどうなってる………」
「異能………ね。わたしのこれは、異能なんかじゃない。おミソのリミッター外しただけじゃ物理法則を覆すに至らないことをね。」
「わあってる！どうなってるかだけ教えろ！」
「最近は、落ち着いてる。だけど年々、力が強くなっていく気がする………あと、銃弾くらいは避けれるようになった………」
「いや、普通に悪化してる？のか？」

わからない。私自身もこの身体の仕組みをよく分かっていないのだ。ただ分かるのは、この力は何らかの力と異能を私に閉じ込めようとした際失敗し、力も異能もほとんど分散し、中途半端に残ってしまったこと。実験の途中経過で行き止まりになってしまったような出来損ないだと言うことだけだ。
主に、身体能力の強化と五感の発達。それが年々強くなっている。
実験当時は人よりも少し運動神経か良いくらいだったが、今はちょっと普通じゃ有り得ないところまで来ている。

「まあ、私は穏やかにやってるさ。」
「へー、へー、済んだならさっさとでてけよ。」

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