弐拾捌話 ページ33
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「それにしても…よく思いついたねぇ。
糸を最も硬い硬度にさせて爆弾の実害を抑え込むなんて」
「土壇場だからこそ、ってやつじゃないですか?…知りませんけど」
教室の椅子に座ってまたあやとりをしながら太宰さんと話す。
「てゆーか、太宰さん。
あの人による猛烈なアプローチ、気付いてたんじゃないんですか?」
「うふふ、そうかもねぇ。
今回ばかりはAでも気付くと思うよ。家のポストや教員室の引き出しに隠し撮りや、愛の手紙なんて入っているとねぇ」
変わらぬ笑顔で話す太宰治さんを見て身の毛がよだつ。
…気付いてたんなら早く通報すればよかったのに。そんな考えを頭の片隅で思い浮かべながらも髪の毛を弄る。
「久しぶりにあんな嫉妬の塊みたいな目、向けられましたよ。太宰さんと離れてからは無いと思ってたのに」
「Aが気付かないだけで私、結構魅力的なのだよ?」
どこがだ。
そう言いたくなるのを我慢して顔をそっぽに向ける。
すると太宰さんは教卓から歩いてこちらへと寄って、私の目の前の机の椅子に腰かけた。
「ねぇ、A」
そして私の頬に手を添えた。
「な、なに……?」
「…なんでもないよ、ただ相変わらずAの髪は綺麗だと思ってね」
サラリと手馴れた手つきで私の髪を毛先まで撫でる太宰さん。
目を細めて髪の1本、1本を見ていって最後に満足気に笑う。そんな表情をされると嫌だなんて言えなくなる。
「今日は私が髪を梳いてあげよう!」
「は、何言い出すんですか急に」
椅子から立って私の後ろに回った太宰さん。椅子から立とうとすると今度は正面に回られて長い人差し指を額に押し付けられる。
あーあ、これじゃ立てないじゃん。
「…………」
「佳い子だね」
ふんふん、とご機嫌な太宰さんはついにあの変な鼻歌を歌い出す。
「どうだい?佳い出来だろう?」
「……ムカつきますけどそうですね」
綺麗な編み込みが施されてる。…なんでこういう人に限って手先が器用なんだろ。
_____
授業の合間に電子音。
その場で見ると姐さんからのメッセージだった。
記憶はちゃんと消去した、か…。どんな方法を使ったのかは知らないけど精神的ショックとかだろうなぁ。
「…………」
「姐さんからかい?」
「そーです」
もう定番となりつつある登場の仕方をして私に声をかけた太宰さん。
返事だけはして画面を真っ暗にして話を終わらせた。
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あやねっち - 台詞の隣に名前を書いてください誰が言ってるかわかんないです (2020年4月20日 15時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
カノ(プロフ) - ReーLさん» ありがとうございます!更新頑張らせて頂きます! (2019年12月21日 14時) (レス) id: 272a605e22 (このIDを非表示/違反報告)
ReーL(プロフ) - ば、番外編...どっちも好き...更新頑張ってください!!通知来たら飛んで来ます! (2019年12月21日 0時) (レス) id: 290daac57c (このIDを非表示/違反報告)
カノ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!そう言って頂き、とても嬉しいです!これからも更新していきますので、よろしくお願いします!! (2019年12月18日 21時) (レス) id: 272a605e22 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 文章がとても読みやすい…!続きがどんどん気になります ! (2019年12月17日 21時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノ | 作成日時:2019年12月7日 12時