弐拾漆話 ページ31
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「ほら、A。顔を上にあげてごらん」
私の意志とは違い、無理やり顔を上にあげられる。その時に徹夜明けで凝った首がごきりと痛んだことに関してはまた後で怒るとして。
「…どうしますか」
極めて冷静な声で太宰さんに対応を求めた。
残り8秒前なんて表示されているのにここから全然動かずにいつも通りよく見えない笑顔でいる太宰さんを見て妙に安心した。
「この爆弾の害を被らない所なんて存在しないし……いっその事、このまま2人で心中してしまおうか?」
「アホですね太宰さん、それは嫌です」
爆弾を持ってそのまま後ろから抱きしめてきた太宰さんの鳩尾に肘を打ち込む。
……残り、3秒。
「太宰さんっ、」
太宰さんの砂色の外套を後ろ手で引いて私よりも後ろに移動させる。
丁度いい事に律も私より後ろにいる。
……初めてするし、上手くできるか分からないけど何もせずに実害を被るよりは絶対にマシでしょ。
そんな思いで異能力を発動させ、思っていたよりも明るいその爆破の光に目を閉じた。
「…………っは、よかったぁ〜」
なんとか、上手く収まった。
安堵したのも束の間、透明化した糸をそのまま外に投げて追跡させる。
「この爆弾の犯人かい?」
「当たり前です、私たちと自分ごと死のうとしたっぽいので」
何目的か知らないけど死にたいなら1人で死んでくれるかなぁ。
教室から出て、グラウンドの方に向かおうとしたところで糸に手応えがあった。
つまりは私の糸がその爆弾を私たちに寄越した犯人を捕まえたってこと。
「ねェ、なんで爆弾をあの机に入れたの?
態と?それとも偶然?…どっち?」
「態とに決まってるでしょ!!
あんたが太宰さんにまとわりついてるせいで太宰さんは私の方を見向きもしない!」
女の言葉に思わず動きが止まる。
そして私の後ろにいる太宰さんに目を向ける。
「…何かしたんですか」
「私が?
うーん、思い当たる節は無いんだけどねぇ」
「有りすぎて無いってことですよね」
この人、昔からその気にさせておいて振るからその逆恨みが後を絶えないってなんで学習しないかなぁ。
「太宰さんがあなたに何を言ったのかは知りませんけど……どちらにせよ処分は受けてもらいます。
異能力も見られてるし、何よりせんせいのことを知られている可能性があるので」
それから黒服たちを呼んでポートマフィアにいるであろう姐さんに記憶消去を頼んだ。
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あやねっち - 台詞の隣に名前を書いてください誰が言ってるかわかんないです (2020年4月20日 15時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
カノ(プロフ) - ReーLさん» ありがとうございます!更新頑張らせて頂きます! (2019年12月21日 14時) (レス) id: 272a605e22 (このIDを非表示/違反報告)
ReーL(プロフ) - ば、番外編...どっちも好き...更新頑張ってください!!通知来たら飛んで来ます! (2019年12月21日 0時) (レス) id: 290daac57c (このIDを非表示/違反報告)
カノ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます!そう言って頂き、とても嬉しいです!これからも更新していきますので、よろしくお願いします!! (2019年12月18日 21時) (レス) id: 272a605e22 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 文章がとても読みやすい…!続きがどんどん気になります ! (2019年12月17日 21時) (レス) id: 72fefee69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノ | 作成日時:2019年12月7日 12時