3個目 ページ4
教師に頼まれたプリントを手に私は立ち尽くしていた。
『帰ってから渡せばちょっぱやじゃね?………いや、絶対忘れるに一票』
学校から出た瞬間、頭が切り替わるから絶対にプリントの存在を忘れる未来が見える。
『………仕方ない』
全くもって気は進まないが、姉のいる体育館へと向かうことにした。
しかし少し歩いて外に出てからある事に気づいた。
ここ、帝光中学校は都内有数のマンモス校、体育館は4つもある。
姉がこの4つのうちどこにいるかなんて知ったこっちゃない。
かといって全部を確かめるなんて言ったら一体何時になることやら…
『くっっっっそめんど…!』
誰か知ってそうな人いないかな。
とりあえず1番近い体育館へと向かうと、外の水道場に誰かが蹲っていた。
気分悪いのかな……
さすがに体調の悪い人を放ってはおけないので声だけでもかけることにした。
『……あの、』
「!?」
めっちゃ驚いて振り向くもんだから私までびっくりした。
『大丈夫ですか?』
「……あっ、だ、大丈夫です、少し休めば楽になるので…」
なにも出来ないのでとりあえず背中をさすっておいた。
「すみません……」
『いえ………あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど』
「…?なんですか?」
『バスケ部のマネージャーでA葵がどこの体育館にいるかとか、知ってます?』
できれば第1村人で終わりたい…!
すると彼は、
「あぁ、Aさんですか、知ってますよ。ここの体育館にいます」
『マジですか!っしゃ…!』
ちょっぱやで用事終わらせられる〜と1人喜んでいると、
「呼んで来るのが1番早いんでしょうが、今、手が離せないかもしれないので一緒に中に行きましょうか」
『え』
マジか。
一瞬で終わるんだけどなーという私の考えはすぐに飛んでいった。
彼について行くと中では素人目の私でも分かる程のハードトレーニング中だった。
こんなん見てるこっちが吐くわ。
「邪魔にならないように着いてきてください」
『ア、ハイ』
言われるがまま彼に着いて行くと、かなりの視線が私に注がれた。
やだやだ注目なんかしないで練習に集中して…!!
やめてくれ…!!
と、心の中で叫んでいると
「何の用かな?」
私の願い虚しく突然声をかけられた。
『あ、えっと…』
「マネージャー希望なら監督の所へ行ってくれ。今は練習中だ」
『え、いや、私は…』
「用がないなら出て行ってくれ」
何だこの赤髪野郎は…!
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作者名:雪泉 | 作成日時:2020年3月10日 19時