M Side ページ10
「それ、あぶねーよ。」
貴和が、あきれたように言った。
「相手は、たぶん大人だぜ。
警察の手を借りた方がいい。」
和典も、さとすように口をひらいた。
「どっちみち、そのうちにはチャリがないのが親に知れて、聞かれるだろう。
そうしたら、どうしたって答えなくちゃならないんだから、バレるのは時間の問題だ。
あきらめろよ。」
「いや、いい手があるんだ。」
そう言って和臣は、うれしそうに目を輝かせた。
イヤな予感が......。
「犯人を見つけたら、このことを警察にバラすぞっておどして、犯人にチャリを弁償させるのさ。」
やっぱし......。
アーヤの目、まん丸だ。
(P208)
ま、そーゆー反応が普通だよ、アーヤ。
「オレは、チャリさえ戻ってくれればいいんだ。
そうすれば親に怒られずにすむし、こづかいもそのままだ。
警察に届けたって、警察が新しいチャリ買ってくれるわけじゃないもんな。
犯人に弁償させたほうがいい。
それに犯人は、上杉が言ったように大人だ。
ちゃんとした大人が、子どものものをこんなにメチャクチャにして知らんぷりってのは許せない。
そういうヤツは、こらしめてやる必要がある。
これは、正義だ。
正当な要求だ。
オレは、やるぞ。
かならず弁償させてやる。」
強く言いきって和臣がみんなを見まわすと、和彦が、まっ先にうなずいた。
「よし、やろう。
オレ、力を貸すよ。」
アーヤが、あせったようにわたしと貴和と和典を見た。
きっとわたしたちが、反対してくれるといい、そう思ってるにちがいない。
(P209)
「まあね。」
貴和がちょっと笑って和典を見た。
「少しは、おもしろいかもな。」
和典は、しかたがないといったように大きな息をついて和臣をにらんだ。
「オレの勉強時間をかならず確保するって約束するんなら、考えてもいいけど。」
「もちろん、約束するさ。
昨日だって、ちゃんと守っただろ。」
和臣が機嫌よく答える。
いや、守ったっちゃ守ったけどさ……。
心でそう思ってから、わたしは和臣に言った。
「わたしも協力するよ。」
和臣は、笑顔でわたしたちを見まわした。
「反対者は?」
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫 - 最高!!貴女もうプロです!頑張ってくださいね (2020年9月5日 20時) (レス) id: b8bed17887 (このIDを非表示/違反報告)
真穂(プロフ) - 彩さん» ありがとうございました!次の作品ができたらまた来てください(о´∀`о) (2017年10月15日 21時) (レス) id: df25a52e6d (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - とても面白かったです!KZの他の作品Ver.も見てみたいです!! (2017年10月14日 19時) (レス) id: a14dd51e33 (このIDを非表示/違反報告)
真穂(プロフ) - さやさん» ありがとうございます!元気になりました(・v・)更新頑張りまっす (2017年8月30日 11時) (レス) id: 9b7d9926ac (このIDを非表示/違反報告)
さや - すっごく面白かったです! 更新頑張って下さい! (2017年8月29日 10時) (レス) id: bee0768345 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2016年11月10日 11時