M Side ページ17
あくる日のこと。
今日はアーヤが成分表の解読をする日。
わたしは早めに家を出て特別クラスに行ったんだけど、男子たちは全員来ていて、わたしがきた直後にアーヤも来た。
緊張している様子のアーヤは、1番前の机まで行って秀明バッグを下ろした。
「成分表を見せて。」
そう言ったアーヤの声は少しつっけんどんに響いた。
そして、1番近くにいた和典が、アーヤの前に一冊の本を出し、真ん中あたりのページを開く。
「ここだ。」
そこには【ö (オーウムラウト)】とか、【ü(ウーウムラウト)】なんていう、この歳の日本人には見慣れない横文字が並んでいた。
アーヤは一生懸命、解読に取り組んだ。
そんな中、和臣がハーフパンツの後ろポッケにつっこんだ両手をいらただしげにゆすって言ったんだ。
「おい、まだかよ。」
あ、バカ。
瞬間、残りのみんながいっせいに言った。
もちろん、わたしも!
「黙れよ。」
「立花だって一生懸命やってるだろ。」
「そんなこと言うなら、自分でやればー?」
「待てないんなら、外に出てればいいじゃん。」
アーヤが何かを考え込むようにわたしたちを見ていた時、和臣の元気のない声が響いた。
「オレ、短気だからさ。」
そして、さらに言ったんだ。
「許せよな。」
って。
こんな言い方じゃぶっきらぼうで嫌なやつと思うかもしれない。
でも、和臣が自分から謝るのは珍しい。
そんな和臣にアーヤもわかったみたい。
すごい笑顔で、「いいよ。」って言った。
和臣は、きれいなあの目をうれしそうに輝かせた。
「がんばって早くしろよ。」
うーん、おしいなあ笑。
・
そして、アーヤはぴったりと同じ文字を何個も何個も探し出し、授業が始まる前までに、アーヤは成分表の3分の1を日本語にしたのだった。
残りは、家で調べて和彦に連絡することになった。
それで、この日は解散になったんだ。
・
・
《真実の日記》
今日は、アーヤが塗料の成分表をドイツ語から日本語に訳した。
実は、わたしは結構外国語が話せるっていうのをみんなにはまだ言ってない。
貴和は[少し]話せることは知ってるけど![結構]話せることは知らない笑
でも、まあ、アーヤも自信を持ったみたいだし、結果オーライかな。
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紫 - 最高!!貴女もうプロです!頑張ってくださいね (2020年9月5日 20時) (レス) id: b8bed17887 (このIDを非表示/違反報告)
真穂(プロフ) - 彩さん» ありがとうございました!次の作品ができたらまた来てください(о´∀`о) (2017年10月15日 21時) (レス) id: df25a52e6d (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - とても面白かったです!KZの他の作品Ver.も見てみたいです!! (2017年10月14日 19時) (レス) id: a14dd51e33 (このIDを非表示/違反報告)
真穂(プロフ) - さやさん» ありがとうございます!元気になりました(・v・)更新頑張りまっす (2017年8月30日 11時) (レス) id: 9b7d9926ac (このIDを非表示/違反報告)
さや - すっごく面白かったです! 更新頑張って下さい! (2017年8月29日 10時) (レス) id: bee0768345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2016年11月10日 11時