消えた自転車は知っている＊2＊

名前呼び・アーヤSide ページ41

「神田さん、今、私のこと何て呼んだの？」


私がびっくりして聞くと、神田さんは答えた。



「アーヤって呼んだけど、イヤだった？」


やっぱり！


「イヤじゃないけど…。もしかして黒木クンに聞いたの？」


すると、神田さんは少しびっくりしたように聞いてきた。



「え、貴和に？何を？」


「私のニックネームよ。」

私が言うと、神田さんが答えた。


「アヤとかアヤコとかって女の子は、たいていそう呼ばれてるもん。アッちゃんとかね。」


それは、黒木クンの言ったことと同じだった。



「神田さん、友だちがいっぱいいるのね。」

「全然。気が合わないんだもん。男子の友だちの方が多いよ。」

わかる気がする。



「じゃ、これからアーヤって呼ぶね。わたしのことも神田さんじゃなくて真実でいいよ。」

「わかったわ。」


私は、なんだか嬉しくてドキドキしながら言った。

いきなり呼び捨てはハードルが高いから、ちゃん付けで呼ぶことにしたの。


すると、真実ちゃんが電話の向こうで、誰かに言ったのだった。



「わかったって。」

「どうしたの？」


私が聞くと、真実ちゃんは答えた。


「あー、早く用件言えって言われたの。」


誰に？と私が疑問に思っていると、真実ちゃんは言った。



「和臣のマウンテン・バイクが、




出てきたんだ。」


え！


「さっき、友だちから電話があってさ。
今わたしと貴和で、確認に来てるとこ。
貴和と共通の友だちだし、いちおう護衛としてね。」

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