意外な電話・アーヤSide ページ40
(アーヤSide)
若武は、いつになく心細そうだった。
私は、若武を助けてやりたかった。
けれども、どうしていいのかわからず、そんな自分の力のなさが、くやしかった。
その日、家に帰ってからずっと、私は、若武の自転車のことを考えていた。
どうやったらそれを盗んだ人間をつかまえ、そして自転車を取りもどせるか。
けれども、いくら考えてみても、いいアイディアはひとつも浮かばなかった。
私は、あきらめて秀明の予習と復習をし、お風呂に入ってから今度は学校の宿題をして、そしてベッドに入った。
とたん、トントンと階段を上がってくるママの足音がして、ドアがギッとあいたのだった。
「アーヤ、電話よ。」
私は、びっくりして時計を見た。
(P171)
もう10時半を過ぎていた。
「誰から?」
体を起こしながら聞くと、ママは不機嫌そうに答えた。
「神田真実って子。」
神田さん!?
「うちは、9時までしか電話は取りつぎませんって言ったんだけれど、どうしてもって言うから。
ま、秀明の三谷Cだっていうし、言葉っかいもていねいだから、いちおう許すことにしたんだけれど、でも一度きりよ。
こんな時間には二度とかけないように、あなたからよく言っといてよね。」
バタンとドアを閉めて、ママは、あわただしくおりて行く。
この時間は、ママのお気に入りのテレビドラマの真っ最中で、それもクライマックスのところなのよね。
途中でジャマされて不愉快な気持ちはよくわかるけれど、まさか、それをそのまま神田さんにぶつけたりしてないでしょうね。
大人って、大人同士の間ではものすごく気を使って言いたいことも言わずにがまんするのに、
相手が子どもだと、気分にまかせて好き放題言うんだもの。
(P172-173)
ああ神田さんに、すごいツンツンした態度を取ってたりしたら、どうしよう!?
私は、おそるおそる受話器を取りあげ、ママが少しはカッコつけてくれていることを祈りながら言った。
「はい、かわりました。」
とたんに、神田さんが言った。
用件も言わないで、少し笑いをふくんだ声で。
「アーヤのママって、この時間、ドラマ観てる?ジャマしちゃったよね。
おジャマしてすみませんでしたって言っといて。」
やっぱり不機嫌そうな声でしゃべってたのかなあ…。
って…アーヤ!?
名前呼び・アーヤSide→←タイムリミット・天才マネージャーSide
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真穂(前よりさらに低in)(プロフ) - 恵菜さん» ありがと〜!!今夜も更新しまーす! (2016年8月23日 19時) (レス) id: d9b3432565 (このIDを非表示/違反報告)
恵菜 - ↓ごめんなさい!間違えました。恵菜です。 (2016年8月23日 19時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
Mio - おめでとうございます!応援してます! (2016年8月23日 19時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
真穂(前よりさらに低in)(プロフ) - 恵菜さん» ありがとう!! (2016年8月14日 23時) (レス) id: d9b3432565 (このIDを非表示/違反報告)
恵菜 - よかったですね!更新頑張ってください! (2016年8月14日 23時) (レス) id: 06036da36b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まーお。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/9649c0265d1/
作成日時:2016年5月3日 12時